米議会の慰安婦決議案の裏にあるものは?

アメリカの議会で起きたことなのだが、私はぼやきくっくりさんのこのポストを読むまでこの事実を全く知らなかった。
以下産經新聞の記事より:

【ワシントン=山本秀也】中間選挙(来月7日)前の審議が9月末に実質的に終了したことで、米下院国際関係委員会を通過していた慰安婦問題に関する対日非難決議案は、本会議では議案にならないまま、採択されない見通しが強まっている。米議会関係者に対する日本側の説得が功を奏した格好だ。

決議案の旗振り役、レーン・エバンス議員(民主党)の事務所は産経新聞に「決議案を支持する24人の議員と下院議長に採決を求めている」と述べ、中間選挙後に招集される残り任期の消化日程を使ってなお採択を目指す考えを示した。(略)
慰安婦問題に関する対日非難決議案はこの10年間、米議会に提出されては立ち消えになってきた。今回はエバンス議員の“引退議案”となり、人権問題に関心の強いクリストファー・スミス議員(共和党)が共同提案に加わるなど超党派の支持を集め、9月13日の委員会通過にこぎつけた。
駐米日本大使館の議会担当者は「決議案が提出された今年4月から注視し、関係先に働きかけてきた」と打ち明ける。委員会では議会の思惑が絡む採決を省略して複数の議案を一括する形で採択されたが、最後の関門となる本会議では議案にもなっていない。
決議案の採択を訴える韓国系移民グループは、下院議長らに請願の手紙を送る運動を全米規模で展開した。米政府が8月に公表した昨年の人口統計によると、韓国系移民は全米で約125万人に膨れ上がっており、80年代半ばからほぼ倍増。今回の決議案を支持したマイク・ホンダら3議員はいずれも韓国系移民が急増しているカリフォルニア州選出だった。

決議案の内容はぼやきくっくりさんが紹介してくださっているが、この決議案が日本に求めていることは次の四つだ。

  • (1)1930年代から第二次世界大戦までアジアと太平洋諸島を植民地支配した期間、世界が「慰安婦」として知るようになる、若い女性を性奴隷としたことの責任を公式に認め、受け入れること。
  • (2)この人道に反する恐ろしい犯罪について、現在と未来の世代に教育すること。
  • (3)慰安婦強制連行はなかったとする主張に、公式に、強く、繰り返し反駁すること。
  • (4)「慰安婦」問題に関する国連、及びアムネスティー・インターナショナルの勧告に従うこと。
  • 私はあえてここで慰安婦強制連行が実際に起きたかどうかという議論は避ける。だが実際に起きたことかどうかは別として、私にはどうも合点がいかない。どうして今さら60年以上も前の出来事、しかも日本の前政権時代に起きたことを掘り起こして対日非難決議など通さなければならないのだろう。第一、慰安婦問題は韓国と日本との問題であってアメリカには関係がないはずだ。このような決議を米議会が通せば日米間の関係に亀裂を及ぼすことになり、前政権の過ちを現政権につぐなわせるようなことになれば、イランや北朝鮮の問題で重要な同盟国である日本の協力を失いかねない。このような議決はアメリカにとって害あって益なしである。
    在米韓国人の間で地元の議員に圧力をかけての議案だというが、いったい在米韓国人の目的は何なのであろうか?日本に慰安婦問題を認めさせ学校などでそれを教えることで、いったい韓国と日本との間でどのような利益があるというのだろう?
    そんな話をミスター苺としていたら、「そりゃあ、君、明白だよ。北朝鮮の陰謀だ。」と言われた。確かにアメリカと日本の間に亀裂が生まれることで利益を得る国は北朝鮮だろう。北朝鮮は韓国はなんとか丸め込んだが、アメリカと日本からの圧力をそう簡単に振払うことができないでいる。だから日本とアメリカの間を冷たくすることで、二か国の協力関係による圧力を弱めようという魂胆なのだろう。だから在米の韓国人たちは北朝鮮の工作員にうまく利用されているのかもしれない。
    そして民主党の下院議員は地元移民たちからの票欲しさに、日本を生け贄にしようというのである。政治とはいえなんとも汚いやり方だ。とにかく決議案が見送られたことは幸いだった。今後もこのような議決が通らないように心して見守る必要がありそうだ。


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    男色議員のわいせつメールが巻き起こした波紋

    実はこの話、すべきかどうかちょっと迷っていたのだが、問題は失脚した議員ひとりの問題だけではすみそうにない。それどころか共和党全体にその波紋が広がり、来る選挙にも影響を及ぼす可能性が大きくなってきた。やはりアメリカ内政の一つとして取りあげねばなるまい。
    ことの起こりはフロリダ州の下院男性議員(共和党)が議員付添人(ページ)の当時16歳の少年に私信メールを送ったことから始まる。CNNの記事から読んでみよう。

    少年にわいせつメール送信? 米下院議員が辞職

    ワシントン(CNN) 米下院のマーク・フォリー議員(53)が、元議員付添人の10代の少年にわいせつなメールを送っていた疑いが濃厚になり、同議員は29日、辞職した。他議員たちからは、辞職では不十分だとして、刑事捜査を求める声があがっている。
    ABCテレビによると、フォリー氏はメールで、少年に対して服を脱ぐよう呼びかけたり、下着しか着ていないという少年に「脱がしたい」と伝えたりした。
    「君を興奮させたかい」などとたずねたこともあったという。ABCテレビは、これ以外のメッセージは生々し過ぎて公表できないとしている。
    フォリー氏は、フロリダ州選出の共和党議員で、6期つとめた。「家族やフロリダの人々をがっかりさせた」として、29日に突然、辞職した。フォリー氏は独身。
    下院は同日、全会一致で独自調査の開始を決めた。
    米議会は、全国の若者に議会で働く機会を与えようと、議員付添人(ページ)プログラムと呼ばれる制度を導入している。1983年には、下院議員2人が17歳の付添人と合意のうえで性的関係をもったことを認め、制度が問題視された。

    このCNNの記事は大切な部分が抜けているので補足したい。実は問題になっているメールは二通りある。
    一つ目のメールはフォリー議員は2005年に元議員付添人だった当時16歳の少年にメールを送ったものだ。しかしその内容は少年の自宅がルイジアナだったことからハリケーンカトリーナの被害はどうだったかとか、誕生日のプレゼントは何が欲しいかといったのような別にどうということのない内容だったのである。ただちょっと眉をしかめる部分があったとすれば、少年の写真を送ってほしいと書かれていた部分だろう。しかしこれも裸の写真を送れと書いてあったわけではないので、単に個人的に親しくなった少年の身柄が心配だっただけだと言い訳すれば辞任するほどのことではなかったはずだ。しかし少年の両親から苦情が出たため下院はフォリー議員に少年とはいっさい連絡を取り合わないようにと勧告してことはおさまっていた。
    問題なのは二つ目のメールである。これはメールというよりインスタントメッセージで、フォリー議員が別の当時17歳10か月の少年とメッセージをやり取りしたものだ。上記のCNNの記事に載っている、下着を脱がせたい、とか興奮してるか、とかいったわいせつな内容はこのIMの時のもので16歳のページへのメールとは全く別ものである。
    アメリカでは18歳未満は未成年とみなされ大人が未成年と性交渉を持てば、たとえ双方合意の上でも犯罪となる。フォリー議員がこの少年と実際に性交渉があったという証拠はなく、ただIMでわいせつな会話を交わすしていただけのようだが、それでも普段からインターネットにおける性犯罪者から少年を守るために戦っていると言っていたひとだけに、この問題はかなり痛い。
    選挙を5週間前にしてこのスキャンダル。当選間違いなしといわれていたフォリー議員の辞任は共和党には痛手だ。しかも民主党はこのスキャンダルを利用して他の強力な共和党議員をも失脚させようと必死である。
    ニューヨークの民主党はニューヨークのトーマス·レノルズ議員(共)下院議会議長のデニス·ハスター議員(共)らがフォリー議員のメール問題を知っていて黙認していたと攻撃している。しかし先にも述べた通り二種類のメールが存在しており、共和党の下院事務所が知っていたメールは最初のちょっと親しすぎる感じのメールであり、二つ目のIMのことではない。しかも下院はその時それなりの対処をとっており決して黙認していたわけではない。
    にも関わらず、民主党は故意に二つのメールを混合することで共和党を「青少年への性的虐待を容認している党」と印象づけようとしているのである。そしてもちろん民主党べったりの左翼メディアもこの陰謀に積極的に加担している。前記のCNNの記事などはその典型である。
    ではアメリカの左翼メディアがどのように共和党を陥れようとしているかその例をあげてみよう。下記はいまはリンクがつながらないアメリカ時間10月1日午前4時45分現在のAPの記事。(訳:カカシ)

    金曜日の夜、ハスター議員の報道官ロンボンジーン氏は共和党下院議員上層部は事件については知らなかったと述べた。

    土曜日の報告書のなかには詳細にわたる時間経過が含まれており、下院事務所が問題のメールについて学んだのは2005年の秋であるとされている。(ページが付添人をしていた)アレキサンダー議員のスタッフがハスター議長の事務所に少年の両親からフォリー議員に少年に連絡をとるのをやめてもらいたいと苦情がきたことを知らせた。その時アレキサンダー議員のスタッフはメールの中身については公表しなかったが、性的な内容ではなく「親しすぎる」内容だと告げたと報告書にはある。
    (カカシ注:あきらかに最初のメールのことを言っている。)
    ハスター議長のアシスタントはすぐに下院事務所に連絡を取り、「ご両親が子供のプライバシーを守りたいという意思を尊重し、即座に適切な担当へ連絡した」が上司のハスター議員を含めハスター議員の他のスタッフには何もいわなかったという。
    連絡を受けた下院事務所はページプログラムを統括するジョン·シムクス(共)議員へ問題をゆだねた。
    シムクス議員はメールについて2005年の暮れに学んだとし、即座に捜査をしたと語る。
    氏はフォリー議員は氏にたあいないやりとりであると語ったと言う。シムクス氏はフォリー氏に今後一切ページに連絡をとらないように、また他のページへも敬意を表するようにと勧告した。

    共和党下院事務所は知ってて黙認していたどころか、きちんと調査までして最後には勧告までしている。ところが数時間後、午前8時、APは大事な点を削除してこのような省略記事を掲載した。

    下院議長のデニスハスター氏の事務所は、メールについて先週になって初めて知ったと語ったが、去年の秋にアシスタントが問題を担当局にゆだねたことは認めた。事務所はメールの内容は「親しすぎる」とだけ伝えられたといっている。

    しかしこれが7時間後の2時50分になるとAPはどこからともなく全く別の嫌疑を持ち出してくる。共和党が性的な内容のメールの存在を知っていたばかりでなく、その事実を隠ぺいしようとしていたというのである。

    民主党、共和党がメールを秘密にしていたと糾弾

    ジョンマーサ下院議員(民)は共和党下院上層部が(この問題に)もっと早く対応しなかったことは遺憾であると発表。「彼等が隠ぺいしようとしたのではないかと心配になる」と語った。
    マーサ氏は下院道徳委員会が11月の選挙前に審議を終了させるべきだとし、そうして投票者が関係者に「責任をとらせる」ことができるようにすべきだと語った。そうすることによって共和党は庶民から失った信用をとりもどせるかもしれない、なぜなら「共和党指導者の評判は中古車セールスマンより信用がない」と語った。

    だが無論、共和党が隠ぺいしようとしたなどというのは全く馬鹿げている。2005年当時ならフォリー議員はまだ中間選挙の候補者にあがる前のことであり、ことがおおやけになったとしてもその時点で引退するなり処分されるなりしたほうが今の今まで黙っていて、選挙直前にばれるよりもよっぽどもましである。選挙直前だから問題になるが1年以上も前ならたいした事件ではない。それを共和党が知ってて隠していたなどとは政治的に考えてあり得ない。
    しかしニューヨークタイムスも、ロイターも、同じようにこの「共和党の隠ぺい」論を全く根拠もないのに報道している。
    アメリカの民主党や左翼メディアの程度が低いことは最初からわかっていたが、このような報道はいくらなんでも名誉毀損ではないのだろうか。共和党議員らは断固この卑怯なやり方を暴露し反撃してもらいたい。


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    西洋が過激化する時

    よくテロリストとの戦いはイスラム過激派との戦いなどという限定されたものではなく、我々の戦っている敵はイスラムそのものであるという人がいる。ここでもそう考える人々の意見をいくつか紹介してきた。
    だが私はそれは違うと考える。少なくともそうであってはならないと。しかしだからと言って、私は決してイスラムは「平和な宗教」などというイスラム過激派の表向きのいい分を買っているわけではない。イスラムの神の名の下にどれだけの人々が殺されているかを考えれば、イスラムが平和な宗教だなどとはどう考えても受け入れられないからだ。
    西洋の多くの人々は、テロリズムとは一部の過激派による行為であると考えている。ほとんどのイスラム教徒は話せば分かる人々であり、文明社会がまだ発達が遅れているイスラム教徒に対して寛容な姿勢を示せば、イスラム教徒も西洋の文化に歩み寄ってくれるとまだ信じているのだ。
    だが、数年前に起きたバンゴッホ映画監督暗殺事件といい、この間のデンマークの漫画事件といい、法王演説への過激反応といい、ドイツのオペラ座公園、フランス教授への脅迫と、なにか問題が起きる度に「話せば分かる」と考えている西洋の人々の間でひとつづつ「寛容」への箍が外れていくような気がしてならない。
    聖戦主義者、ジハーディスト、たちは西洋の他民族や他宗教への「寛容」を我々の「弱さ」であると考えるからだ。我々が弱者をかばい、少数民族の自由を保証するやり方は、我々の「欠点」であると考えるのだ。そして彼等は我々の自由と生命を尊ぶ思想こそが我々を崩壊へ導くと信じてやまないのである。(以下National Reviewより。)

    初期のイスラム歴史の章から、イスラム教徒が西側と戦争をする上で今日の教訓となるものがある。それは「死への愛」である。これは西暦636年のカディスィヤの戦いにおいて、イスラム軍の指揮者、カリード·イブ·アル·ワリードが敵側のKhosru宛てに使者に手紙を持たせた。そのなかには「そのほうたち、イスラムに改宗せよ、さすれば安全は保証する。さもなくば命を愛する貴様らを、我が輩がひきつれる死を愛する男たちの軍がその力を思い知らせてくれよう。」と書かれていた。このエピソードは今日のイスラム教の説教でも、新聞でも、教科書でも繰り返されている。

    現にヒズボラの指導者ナスララも数年前イスラエルとヒズボラが人質交換をした後で、こんなことを言っている。

    「我々はユダヤ人の最悪の弱点を発見した。ユダヤ人は命を愛する。だから我々はそれを奴らから奪ってやるのだ。我々は勝つ。なぜなら奴らが命を愛するように、我々は死を愛するからだ。」

    これは話が完全に逆さまだ。イスラム勢力が歴史上何度も西洋社会に敗北したのは常に彼等の「死への愛」が原因なのである。男たちが敵を前に立ちはだかって死ぬまで戦い続けるのは命を愛するからであって、死を愛するからではない。死を愛するものに勇気は持てない。死への愛は希望ではなく絶望だからだ。
    我々は命を愛するからこそ命を捧げて我々の自由のために戦う英雄を讃えるのである。我々は自由を愛するからこそ科学、技術、哲学などで最先端をいっている。自由主義であるからこそ戦力も優れているのである。自由な国の軍隊では個々の部隊で優れた指揮官が融通の利いた判断をくだすことができる。個人の才能が生かされ状況に臨機応変に対応できる軍隊ほど危険で強力なものはない。
    ジハーディストたちがそんな自由主義の西洋と戦って勝てるなどと思うのは馬鹿げている。彼等は西洋の血なまぐさい歴史を全く知らない愚か者だ。西洋の軍隊ほど効率良く大量殺人をやってきた軍隊はない。その犠牲者の数はイスラム勢力のすべてをかき集めても足下にもおよばないのである。
    最近の歴史において、戦争における最新技術を生み出してきたのはすべて西側である。自由主義の国々における技術発展は凄まじい。融通の利かない独裁社会は武器を自分らで開発できず、ライフルから戦車からすべて技術を西側諸国から買い取るか盗み取るしか能がない。このような西側がイスラム勢力と本気になって戦争をやったらイスラム勢力はひとたまりもない。
    その悲劇的結末をいまはまだかろうじて止めているのが西洋社会の弱者への「寛容」である。だが、「イスラムが悪いのではない、一部の過激派が問題なのだ」といまはまだ考えいる人々も、イスラム教徒らの暴走がある度に、そして「穏健派」といわれるイスラム社会から暴力を糾弾する気配が全く感じられない度に、、ひとり、またひとりと、「悪いのはイスラムそのものだ。イスラム教徒は皆殺しにせよ」という過激派に変化していくのではないだろうか。
    西洋の人々が過激化する時、「イスラム教徒は皆殺しにせよ」という過激派の思想が西洋を支配した時、崩壊するのは西側ではない。完全崩壊するのはイスラム教のほうなのである。だがその時大量に殺されるのは、「死への愛」を唱えるイスラム過激派だけでない、過激派に抗議しなかった穏健派も道ずれとなるのである。西洋の過激化を防げるのはイスラム教の穏健派だけである。
    関連記事:イスラム教徒はテロリスト予備軍なのか? 灰色の思考算術さんより


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