昨日パレスチナ自治政府(PA)の報道官が自己責任を追求する記事を書いたばかりだが、今日になってPAのアッバス大統領もイスラエル攻撃をいますぐやめるよう武装集団の前で演説をした

アッバス氏はイスラエルにロケット弾を打ち込んでいる武装集団こそがパレスチナの破壊と死の責任があると述べた。ラマラに集まった何千という群衆に向かってアッバス氏は「これまでにガザでは250人の殉教者が出た。何千という人がけがをし、何千という家屋が破壊された。何故だ? この理由は何だ? この理由を探そうではないか。」と呼びかけた。

アッバス大統領がいう250人の殉教者というのは、ハマスがイスラエルのジラードシャリット一等兵を拉致してからイスラエルの反撃によってガザで殺された人々のことをさしている。アッバス大統領は大分前からハマスおよび他の武装集団に対してイスラエルへの攻撃をやめるよう呼びかけていたが、これは直接ハマスとその政権への批判ととれる。
アッバス氏はガザから飛び交うロケット弾がイスラエルからの攻撃の口実となっているとハマスら武装集団の行動を強く批判しているのだ。
アッバス氏はハマスとファタとの同盟政府を設立し、国際社会からの経済制裁を取り止めてもらおうとしている。そのためにはパレスチナ市民が一体となってパレスチナの経済発展のために努力すべきであり、いつまでもイスラエルへの自爆テロを続けていてもらちがあかないと考えたのだろう。
だが、アッバス氏のこのような訴えも空しくハマスは今日も何十というロケット弾をイスラエルに打ち込んだ。イスラエル側はハマスとファタの同盟政府は成り立たないだろうと見ている。たとえシャリット一等兵が返還されたとしても、ハマスは国際社会に公式な政権として認められるために必要な三つの条件を拒否し続けるだろうというのがイスラエル側の見方である。そのみっつの条件とは、テロ行為をやめる、イスラエルが存在する権利を認める、過去のイスラエルとPAの合意を受け入れることである。
暴力的により過激になるハマスと穏健化するファタとが協力をしてひとつの政府をつくることはまず無理だろう。これはパレスチナにとって非常な悲劇である。だが、民主的な選挙でテロ軍団のハマスを政権に選んだ以上、パレスチナの悲劇は自業自得といわねばならない。
パレスチナの未来はパレスチナの民が握っている。壁の建設が完成すればイスラエルにとってパレスチナはもうどうでもいい存在である。パレスチナが主権国家として生まれ変わるためにはただイスラエルを憎んでいても何も生まれない。自分らの社会は自分らの手で作り出さねばならんのだ。だが、私にはパレスチナ人にそれができるのかどうかかなり疑わしいと感じる。
気の毒なのはアッバス氏や、彼の意見に同調する穏健派のパレスチナ庶民である。