最近になってヒズボラのリーダー、ナスララがイスラエル兵を拉致した後でのイスラエル政府の反応は予測外だったと認めているが、これは非常に興味のある展開である。

レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師は27日、地元テレビとのインタビューで、イスラエル軍との戦闘の発端となった同軍兵士拉致について、「これほどの規模の戦争になるとは1%も思わなかった。知っていれば、拉致を指示しなかっただろう」と述べ、イスラエルの攻撃が予想を大幅に上回る規模だったことを認めた。

同師は停戦直後の今月14日、自派テレビ「アル・マナール」を通じ、「勝利宣言」していたが、戦闘でレバノン側に1000人以上の死者が出たほか、同国南部を中心に甚大な被害をもたらしたことから、国民感情に配慮したものと見られる。
ナスララ師はまた、拉致したイスラエル兵2人の解放に向け「最近、接触が始まった」と述べ、イタリアと国連が仲介を表明したことを明らかにした。レバノン側は、ヒズボラではなく、ベリ国民議会議長が交渉を担当するという。
レバノン南部に増派される国連レバノン暫定軍(UNIFIL)について、同師は「ヒズボラを武装解除しようとしなければ、抵抗はしない」と述べた。

どうも勝ったといわれる勢力のリーダーがいうような声明ではない。ヒズボラは勝ったのかで下記のように書いた。

ヒズボラの人気がレバノン内部で高まったというが、はたしてこれもどこまで意味のあることなのか定かではない。シーア派で失うものが少ない連中はこれまで通りヒズボラを支持するだろう。だがヒズボラを応援することで家屋を失った一般庶民は今後もヒズボラを支持することの危険性を考慮に入れるのではないだろうか。

ヒズボラはもうすでにイランからの資金でレバノン再興のためにかなり資金投与をしている、それに加えて、イスラエルからの攻撃は自分たちの意図ではなかったとわざわざ言い訳じみたことをしているということは、我々の聞く報道はともかく、地元レバノン市民の間からはシーア派も含めてヒズボラへの批判が案外高まっているのではないだろうか。
ところで人質交換の交渉だが、イスラエルが戦闘中に逮捕したヒズボラ幹部と戦闘のきっかけとなった拉致されたイスラエル兵二人との交換ならば、ヒズボラはイスラエル兵拉致で得たものは全くなかったどころか、レバノン市民の恨みを買い、同胞を大量に殺され統治する領土も減らされ勢力をかなり弱まらされた。しかもナスララが国連軍に抵抗しないといってみたり、挑発されなければ自分達からイスラエルを攻めることはないとわざわざ公約しているところをみると、今回のイスラエルとの戦争は決してレバノン人の間でも人気があったわけではなさそうだ。以下デイリースターの記事より。(訳:妹之山商店街さん)

ナスララ師は、ヒズボラが「イスラエルの刺激」を無視するであろうから、レバノン人が戦いの新しいラウンドを恐れる必要がないと付け加えました。

「もし我々がこれらの刺激に返答したなら、我々は国連安保理決議1701に違反することになるでしょう。
そしてそれは、[アメリカ大統領ジョージ・W]ブッシュが望む、レジスタンスを武装解除することと結び付けられた二番目の解決の論議を開くことができました…
イスラエルは「レバノンをそれらの要求に身を任せさせる第二ラウンドの脅迫をしています。もしイスラエルが第二ラウンドを開始するつもりであったなら、部隊を撤退させる代わりに、部隊を増やしていたでしょう」とナスララ師が言いました。
「避難民は故郷に戻りつつあります。そして彼らは北部を再建し始めました。そのように行動をする誰が戦争へ向かうように思われません。我々は第二ラウンドに向かっていません」と彼が付け加えました。
戦闘が既に終わったという保証にもかかわらず、ナスララ師は、ヒズボラがレバノン領内のイスラエル軍を攻撃する権利を保留する。しかし今の所、抑制を見せるであろうと言いました。

イスラム教のジハーディストの語彙に「抑制」などという言葉があったとは初耳だ。もちろん私はナスララの公約など花から信じているわけではない。だが不本意でもこのような声明を公表しなければならない状況にナスララが置かれているのだということには深い意味があると考える。


3 responses to ヒズボラがイスラエル兵拉致の誤算を認める理由

アラメイン伯13 years ago

理性のある人間ならイスラエルの攻撃に理があると理解できるはずです。
テロリストがどんな理屈つけてもテロリストなのです。だいたい兵士を拉致しるような戦い方に共感する一般市民がいるとは思えません。
兵士も国民には違いないのだからイスラエルの行動は当然です。
日本も参考にすべき。

ReplyEdit
asean13 years ago

こんにしはカカシさん
ナスララのコメントの中で注目すべきは、レバノンテリトリー内での攻撃・・・っと戦闘地域を特定していることだと思いますね。
これは、イスラエル領内に入ってま迄の戦闘は行わないことを意味していますから結果的に
イスラエルの存在を認めることになるんですよ、はい。
いわゆるアラブ方式が今回は非常に効果的に働いている証拠だと思いますね。
(シノラの泣きのパフォーマンスも)
どうも今回はイスラエルが割を食ってしまった、というのが現実でしょうか?
イスラエル側からすると戦局の結果がしっかりついてもいないのにセクハラ事件などが発覚すること自体
米国も欧州も実はイスラエルと一蓮托生でもコントロールも出来ないことを証明した訳で
(リベラルの善良な人達は信じないだろうけど、ははは)
国際社会としては今回の戦闘では「勝者なし」の裁定を下すしか方法がなかったということでしょう
ことイスラエルに関しては、ヒズボラに関してはアラブ諸国の方法に全面的に委ねることで
逆にそれらアラブ諸国の国内的な安定を狙って親米、親欧ムードを再醸成する・・・という方針でしょうね。
続きはこちらでどうぞ
Arabic method-II:Nasrallah and Hizbullah’s true intention?

ReplyEdit
In the Strawberry Field13 years ago

名ばかりのヒズボラの大勝利

私はイスラエルとヒズボラの停戦が決まった時から、主流メディアやアメリカ保守派がいっているような、ヒズボラの勝利など信じていなかった。先日もヒズボラが拉致誤算を認める理由…

ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *