先月22日にイラクに出動したストライカー旅団に所属して出動命令を拒否して国内に留まったワタダ米陸軍中尉は昨日出動拒否、将校としてあるまじき態度などの罪に問われて起訴された。有罪となれば7年の禁固刑のすえ、不名誉の除隊となる重罪である。それについて彼の母親が発表した手紙を読んだ方もおられるだろう。
ワタダ中尉が命令に背いて出動拒否をした理由として声明を発表した。しかし彼の声明にはどうも腑に落ちないことがある。

私はエレン・ワタダと申します。アメリカ合衆国陸軍中尉であり、3年間服務しています。

合衆国陸軍の将校として、重大な不正義に対して声を上げることは自分の義務であると考えます。私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下す者に対して負うものではありません…
米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなければなりません…

ワタダ中尉の入隊は3年前というから2003年の6月頃だったということになる。ということはアメリカのイラク戦争はすでにはじまり、主な戦闘は終わったとブッシュ大統領が宣言した直後だった。もし彼の声明文のとおり、イラク戦争が「イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為である」と考えるなら、なぜそのような戦争をやっている真っ最中に最前線に行く可能性が非常に高い陸軍などに志願したのであろうか? そのような戦争を行っている軍隊に抗議のため反戦運動の市民団体にでも参加すべきだったのではないか? 
イラク戦争はすでに3年半も行われてり、ワタダ中尉がこの戦争に反対だったのなら、そしてそれについて抗議することが自分の義務だと考えていたなら今まで黙っていたというのもおかしい。 今年12月には任期がおわり出動の危険が大きい陸軍に3年もいたのに戦闘経験をせずに除隊できるとおもっていたら、突然出動命令がでて、しかも任期が来年の中頃まで延長されるということになったのが、突然都合良く反戦意識に芽生えた理由だというのは私のかんぐりすぎかな? (笑)
軍人は軍の規制に反する不法な命令を受けた場合命令を拒否する義務がある。だがその拒否のしかたにはきちんとした取り決めがあり、上官から違法命令を受けた場合部下は即座に当局へ訴え出る義務があるが、そのやりかたに一般メディアを集めて記者会見するというやりかたは含まれていない。これは私の勘だがこの行為は多分違法だろう。

平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許されます。そうした時代は終わってしまいました。私は上官に対して、われわれの行動の意味するところを大局に立って判断するよう求めました。しかし、まっとうな回答は得られそうにありません。
私は将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います。

アメリカ軍法、Universal Code of Military Justice (UCMJ) についてご存じない方も多いと思うが、軍人は軍隊に入隊した時、民間人にあてはまる憲法からの庇護から解かれ、軍の法律によって行動を規制される。であるから軍人が罪をおかした場合一般の裁判にはかけられず軍法会議にかけられる。 
このなかで、特に現役軍人による政治活動は禁止されており、現政権の政策についての批判は公の場ではしてはいけないことになっている。つまりワタダ中尉がいうような「平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許され」た時代など過去にも存在していないのである。それどころかアメリカには三権分立の法則があり、軍隊は国の政策に口出しをしないことになっている。だから軍の総司令官は民間人なのであり、戦争をするしないの決定権は議会にあるのであり、軍隊にその否決権はない。だからワタダ中尉が個人的にどう思おうと、彼にこの戦争が違法か合法かを判断する権限はないのである。
ワタダ中尉は将校であるので、彼の下には当然部下がいる。将校たるもの率先して部下を指揮して戦場の赴くのが普通であるにもかかわらず、彼はその任務を拒否した。はっきり言って、こんな臆病者がイラクにいったりしてくれないで助かったと私は思う。こんな指揮官に指揮される部下たちこそはた迷惑である。きっとワタダ中尉がこないでくれて助かったと息をついてる部下も多いのではないだろうか。
私はワタダ中尉の母親のいいわけがましい手紙など読む気は全くしないのだが、その手紙を検索していておもしろいサイトに行き渡った。
このサイトの名前uruknet.infoの下に、「占領下のイラクからの情報」と副題がありイラクのフセイン政権下の旗の写真が載っている。ワタダ中尉の命令拒否の話題はなんとイラクのバース残党抵抗軍のホームページでプロパガンダとして使われているのである!
「将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓」したはずのアメリカ将校が自分の部下が命がけで戦う敵に自分の行動がプロパガンダとして使われ、敵に勇気を与えたことをワタダ中尉はさぞかし誇りに思っていることだろう。
そうやって軍の牢屋で冷や飯を長〜い間食ってもらいたいものだ。


2 responses to ワタダ米陸軍中尉の出動拒否に思う

asean15 years ago

う~~ん、これは流石に駄目ですね。
軍人と言えども人間ですから「内面」でイラク戦争に関する感想なり意見ってのを持つのは問題ではありませんが
こういう行動を取ってはいけません、それも現役が・・・
彼がね州兵だ、ってんなら未だねぇ許せなくもないですけど・・
不名誉所帯相当ですね・・・

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In the Strawberry Field15 years ago

脱走兵ワタダ中尉の軍法会議は無効審理へ

イラク戦争が始まった直後の2003年に陸軍に入隊し去年初めてのイラク出動を拒否して軍法会議にかけられていたハワイ出身のワタダ中尉の軍法会議が本日無効審理となり、今年の4月に審理がやり直しされることになった。 イラク派遣拒否の中尉、軍法会議が「無効」…再審理へ  【ロサンゼルス=古沢由紀子】米ワシントン州フォートルイス陸軍基地で行われていたイラク戦争への派遣を拒否した日系3世アーレン・ワタダ陸軍中尉(28)に対する軍法会議で、担当判事は7日、事前の弁護側と検察側による事実認定手続きに問題があったとして…

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