イラクにはマーシアラブといわれるイラク南部の湿地帯に住む部族がいる。彼等の故郷は1990年代にサダムフセインによって破壊された。彼等のすむイラクマーシといえば中東で最大の湿地帯として、そして文明の発祥地としても、昔から有名だ。聖書に出てくるエデンといえば、まさにこの地のことをいうという説さえある。この豊かな水の恵みにはぐくまれ、一時は多くの野生生物が生息していた。
しかし、1950年代からバース党はスンニ派の住まいへ水を供給するため、組織的に湿地帯から水を引いてきたが、1991年の湾岸戦争後のフセイン政権下でこの政策はエスカレートし、いたるところにダムが作られ湿地への水は遮断され、このあたりは完全な枯れ地になってしまった。おかげでここで何世代にも渡って生活を支えていたマーシアラブたちは故郷をおわれることとなったのである。
2003年にアメリカ率いる連合軍がフセイン政権を倒した直後、地元民は無数のダムを破壊し、湿地帯に水を引き戻しはじめた。この湿地帯復興に一役買ってでて、かなりの資金援助もしているのが、誰あろう日本政府と日本の自衛隊である。日本政府はすでにこの復興企画に2百万ドルの資金援助をしており、あと1千万ドルほど援助する計画になっている。
またこの水が戻ってきたとはいえ、長年にわたるフセイン政権の垂れ流した公害により水は汚染されているため、その汚染された水の清浄作業に携わってきたのが自衛隊というわけだ。
おかげで去年の8月現在、イラク湿地帯の水は37%ほど戻ってきたと国連は発表している。
最近の復興状態を主流メディアとしては珍しく、イギリスのBBCがこの過程をずっと追っているので、その記事を紹介しよう。(訳:妹之山商店街さん提供)
イラクの水資源省大臣のアフドール·ラティーフ·ラシード氏によると、湿地帯はすでに60%復活しているという。

BBCはイギリスのヘリコプターでバスラ市の西にある湿地帯の一つの上空を
飛びました。

我々は以前の状態と比較する方法を持っていませんでした。
けれども航空機から、我々は大きな広々とした水域を見ることができました。
葦の草むらに沿って狭いボートをゆっくり動かしている漁師がいました。
我々は所々で伝統的な湿地帯のアラブの村を見ました。
そこでは葦の厚いマットの上に浮いて、水牛が一緒にごろごろしていました。
故ウィルフレッド・セシガーのような探検家が、1950年代にマーシュアラブ人と
一緒に住んでいました。同じ現場を記述し、写真を撮りました。

なんとものどかな景色なのだが、むろんこれはBBCのニュースであるから全体的に楽観的な記事ではない。実際にはイラク湿地帯はいろいろな問題を抱えている。
日本政府を初め国連がこのあたりの復興のためにあてがった資金で、湿地の復興だけでなく学校の設備や病院などもたてられるはずだったのだが、地方役員の腐敗が原因なのか、地元にはこれといった還元がされていないと地元民は嘆く。電気の配給や清浄水の供給などフセイン時代とたいしたかわりがないとぼやく市民もいる。(もっともフセイン政権下では彼等はこのあたりを追われていたのだから、かわりがないというのも変な話だが。)
また、宗派間の争いやテロ事件などで悩まされることがないとはいえ、部族同士の暴力的な争いは後を絶たないようだ。
ま、イラクのような国で何もかもがうまくいったらそれこそ奇跡なのだが、イラク政府にはこのあたりを自然公園にして自然を保存する考えや、産業を取り入れ地元民への就職にも役立てたいと、野心的な計画は多々あるようだ。また、湿地帯の下に眠っている油田の発掘についても考慮がされているようで、このあたりの発展は今後も注目されるべきだろう。


1 response to イラク湿地帯の復興

グローバル・アメリカン政論13 years ago

民主党、イラクで分裂

以前、当ブログの「米国リベラル派の巻き返しなるか?:新興シンクタンクを検証米国リ

ReplyEdit

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *