数日前カナダ南部のトロント市内でアルカイダ系の若者17人がテロ行為の未遂で逮捕された事件はご存じかと思う。昨日のCNNの記事によると、テロリストたちは首相の斬首まで考えていたというから恐ろしい。

トロント——カナダ南部トロント市内などで6月初旬、国際テロ組織アルカイダの思想、行動に同調する少年5人を含む17人が爆発物テロ容疑で一斉に逮捕された事件で、検察側の起訴状の概要に、首相を含む政界指導者を拘束、首を切断する謀議が含まれていることが6日判明した。概要を渡された容疑者の弁護士が明らかにした。

この他、議事堂の爆破、国営のカナダ放送協会(CBC)の乗っ取りの犯行計画も含まれている。関連捜査はまだ続いており、逮捕者が今後、増えることも予想される。逮捕者はいずれも厳重な警備下におり、弁護士との接見も許されていない。

911事件があった時、何故アメリカはテロの犠牲になったのか、アメリカという国家はそれほどイスラム教徒に嫌われるような行為をしてきたのだろうか、という疑問を問いかけるひとが多くいた。しかし私はこの質問そのものに間違いがあると思う。
なぜ人々はイスラマファシスト(過激派イスラム教徒)が何か我々に理解できる動機でテロ行為をしたと決めつけるのだろう? 日本でオウム教のテロがあった時、日本人のひとりでも、オウムの狂人たちにも理はあるかもしれない、日本社会が何か悪いことをしていたのかもしれないなどと考えただろうか? 今後このようなことが起きないようにオウム教のようなカルトを理解してあげることだなどと考えた人がいただろうか? どこの国でも狂人の集まったカルトがテロを行った場合にテロリストと妥協して平和共存を望むべきだなどというひとはいないだろう。
それではなぜ、イスラマファシストに限って文明社会の多くの人々がテロリストにもいいぶんがある、犠牲者から手をさしのべてテロリストを理解してあげるべきだなどと考えるのだろうか? なぜイスラマファシストは狂人の集まりなので、死のカルトであるから、断固戦って撲滅する以外に文明社会の平和を守る方法はないのだということに気が付かないのだろうか?
アメリカが指揮しているイラク戦争が、テロリストを刺激しているという人たちがいる。しかしそれが事実なら、なぜイラク戦争に反対して参加しなかったカナダがテロの標的になるのだろうか? 今回の逮捕で明らかになったのは、テロリストたちの情報網は世界中に広がっており、イラク戦争を真っ向から反対していたフランスやロシアもその標的になっていたということだ。対テロ戦争がテロリストを刺激しているという理屈がここで完全に崩れるわけだ。
この間ドイツで行われた世論調査で、ドイツ人の多くがいまやイスラム教徒と西洋の文化は、文明の衝突状態にあると考えるていることが明らかになった。私はイスラム過激派と西欧社会の衝突は原始社会と文明社会との衝突だと考える。いまイスラマファシストに道を譲ることは、文明社会の破壊を意味するのだ。
イスラマファシストの動機を理解することは大切である。だがそれ以上に大切なのはいかに彼等が危険な存在であるかということを理解することだ。そして対テロ戦争はアメリカやイスラエルだけの他人事ではなく、世界の文明国が団結して戦うべき戦争なのだと気が付く時である。なぜならばこと対テロ戦争に関しては中立はあり得ないからだ。
好むと好まざるとに関わらず、戦はすでに仕掛けられたのである。


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