November 11, 2016

トランプ勝利はポリティカルコレクトネスへの挑戦だ!

アップデート:よもぎねこさんが、カカシが下記に紹介したペギー・ヌーナンの論文の公式日本語版と共に鋭い指摘を加えて紹介してくれているのでご参照のこと。

トランプの勝利が明らかになった火曜日の深夜から、あちこちの大学キャンパスやその近隣で若者らによるデモ行進や暴力行為や暴動まがいの騒動が起きている。彼らは民主主義によって決められた選挙結果が気に入らないらしい。彼らは文明社会の基本がまるで理解できていないようだ。いったい一流大学で何を学んできたのだと聞きたいね。

トランプの勝利は多くのアメリカ人がトランプこそがポリティカルコレクトネスを破壊してくれると確信したからだと語るのはパメラ・ゲラー。

私はもう何年もこの問題に注目してもらおうと努力してきた。大学構内で組織的権力を得た極左翼が人々が間違ったことを考えたり言ったりすることを罰するポリティカルコレクトネスこそが問題なのだと警告してきた。そしてドナルド・トランプが共和党予選で深刻に脅威的な存在になってきた頃から警告してきた。大学構内外を問わずこのポリティカルコレクトネスの氾濫に激しい憤怒の念を抱いている多くの人々は、それに立ち向かおうとする人物なら誰にでも権力を委ねるだろうと。

ゲラーは、風変わりなイギリス人でおカマの保守派評論家であるマイロ・イアナポリス(ユーチューブビデオ)が保守派大学生の間で大人気者になり、あちこちの大学に講演者としてひっぱりだこというのも、学生たちがマイロの意見に同意しているというより、マイロが真っ向からポリティカルコレクトネスに反抗して憚(はばから)ない態度が好かれているのだという。

カカシも含めて多くの共和党保守派はトランプを共和党候補として受け入れるのを拒んできた。ネバートランプの筆頭ともいえるベン・シャピーロなどがそのいい例だろう。シャピーロとマイロはトランプの候補性に関してツイッターで罵倒バトルを繰り返し、マイロのファンたちがシャピーロに反ユダヤ人的侮辱を浴びせかけたことなどもあって(生まれたばかりのシャピーロの第二子をガス室に送れとか)シャピーロとマイロは全く相容れない関係だ。

しかし、マイロ自身は特に反ユダヤ的な思想を持っているとも思えない。マイロは常に自分のファンやフォロアーたちが何を言おうと自分の責任ではないと主張してきた。マイロ自身が責任があるのはマイロの言動だけだと。

私から言わせるとお行儀のいい保守派のベン・シャピーロに比べてマイロは下品なことでもどんどん言う。それでも何故かあのブリティッシュアクセントで言われると上品に聞こえる、なんてのは余談だが。私はシャピーロやマイロの大学構内の演説をユーチューブで何回か見ているが、二人が言っていることはそれほど変わらない。また目が覚めるような斬新なアイデアも述べていない。いや、それどころか一般人が密かに考えていることだろう。それが何故今やポリティリーインコレクト(政治的に正しくない)ということになるのか。それはいかに大学キャンパスが左翼過激派に乗っ取られてしまったかを示すものだ。

マイロがシャピーロより多少人気があるとしたら、それは彼の周りを憚らない下品で傲慢な態度だろう。マイロは下品で傲慢で聞くに堪えないスピーチこそ守られなければ言論の自由は成り立たないという点を強調したいのだ。

極左リベラルのやり方はいつも同じ。反対思想や意見の全面的排斥弾圧である。だからシャピーロやマイロの講演は学校側が率先して弾圧しようとする。学校側が過激派生徒に暴力を煽って講演者や参加者を暴力で弾圧しようとする。だが、そうやって弾圧しようとすればするほど保守派及び常識ある生徒たちからの反感がつのるのである。

ゲラーはトランプはマイロが大学キャンパスでやったことをアメリカ全体でやったのだという。マイロ自身、トランプ現象を人々がトランプ方針に同意したからだと理解するのは正しくないという。トランプ現象はポリティカルコレクトネスへのささやかな抵抗だ。

保守派評論家のミッシェル・モルキンも同じようなことを言っているが、もうひとつ大事な点を指摘している。

左翼リベラルはトランプは大金持ちの白人で、彼の支持者は皆無学で低層階級の白人ばかりだと主張していた。ネバートランプ保守派のなかでは少数派有権者にもっと人気のある候補者を選ぶべきと主張する人もいた。しかし蓋を開けてみるとトランプは意外にも黒人やラテン系から、いや女性からさえも、支持をこれまでの共和党候補たちよりも多く受けていたのである。

何かと悪者扱いされてきた白人(特に男性)がトランプ支持をするのはわかるとしても、なぜ少数派のアメリカ人がトランプを支持するのか。それは人種や性別だけで政治観念が決められるアイデンティティーポリティクスに嫌気がさしている少数派アメリカ人が増えたからだ。

たとえばカカシにしてみたところで、普段カカシは自分のことを日系アメリカ人とか思ったことがない。周りから「あなた何人?」と聞かれたら「アメリカ人」と応えている。あえて人種を聞かれたら「日本人」と応えるが、政治的見解は日系だからということで左右されたことはない。

それと同じで黒人ならこうあるべき、女性ならこうあるべきで、それに従わない人は裏切り者ででもあるかのように攻め立てられる風潮にうんざりしている人々が少数派と言われる人々の間にも結構いるのだ。

ベン・シャピーロは、これまでずっと左翼リベラルメディアがどんな保守派候補でも「人種差別者だ」「女性蔑視者だ」「同性愛恐怖症だ」と攻め立ててきたことが、トランプ攻撃の効果を弱めたのではないかという。前回の共和党候補者のミット・ロムニーは道徳的にまるで落ち度の無い人だった。敵も見方も彼の人柄に汚点など見つけられる人はなかった。にも関わらず彼に対して左翼リベラルはトランプに向けたと同じ非難を浴びせかけた。ロムニーとトランプが同じなら、人々がそれに耳を傾けなくてもしょうがないだろう。オオカミだ、オオカミだ、と何度も嘘をつけば真実も信じてもらえなくなる。

自分はどうではないのに、あまりにも長年「レイシスト!」と呼ばれ続ければ、「それがどうした!」となるのも当然。そういう罵倒が効果を生むのも、言われた本人が回りからそう思われるのを恐れるという前提がある。もし言われた本人が気にしなければそんな侮辱は意味がない。

トランプ現象は、人々に「それがどうした!」といえる勇気を与えたということなのではないだろうか。

November 11, 2016, 現時間 10:49 AM

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コメント

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下記投稿者名: yomogineko

>マイロは下品で傲慢で聞くに堪えないスピーチこそ守られなければ言論の自由は成り立たないという点を強調したいのだ。

 これ全くその通りです。

 フランスのシャルル・エブドだって物凄く悪趣味な雑誌でした。
 
 福島の原発事故やイタリアの地震の被害者を、見るに堪えないやり方で茶化しました。

 でも福島県民もイタリア人もそんなことで、テロなんかしないのです。

 だって言論の自由や表現の自由はこういうグロテスクなモノも許容する事で守られるのですから。

 それが対イスラム、人種、女性に関してだけは絶対不可と言う発想はどう考えてもオカシイのです。

 

上記投稿者名: yomogineko Author Profile Page 日付 November 12, 2016 7:16 AM

下記投稿者名: yomogineko

>黒人ならこうあるべき、女性ならこうあるべきで、それに従わない人は裏切り者 

 ハハハ、つまり黒人は黒人らしく、女は女らしくと言うわけですね。

 これって普通女性差別、人種差別って言うんじゃないですか?

上記投稿者名: yomogineko Author Profile Page 日付 November 12, 2016 7:22 AM

下記投稿者名: 苺畑カカシ

よもぎねこさん、

こんにちは。全くその通りですね。左翼リベラルは常に「ステレオタイプで人を判断するな」とか言ってるくせに実は自分らがそのステレオタイプにしがみついている。にもかかわらず自分らはその矛盾に気が付いていない。

上記投稿者名: 苺畑カカシ Author Profile Page 日付 November 12, 2016 11:09 AM

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