September 2, 2016

なんで普通の男がトランス女を演じてはいけないのか?

今日、ハリウッドリポーターというオンラインニュースを読んでいてなんだこりゃと思う記事があった。その内容は「男優にドレスを着せて鬘をかぶせ化粧をさせただけではトランス女を正しく演じることは出来ない」というもの。記事の著者はニック・アダムスで、GLAADという同性愛市民団体のメンバー。

当然ながら(ハリウッド映画界による)また男にドレスを着せてトランスジェンダー女を演じさせる決断はトランスジェンダー市民の神経に触る。なぜならこれは多くの人々にとってトランスジェンダー女は実は男だと見られているという厳しい現実を思い出させるからである。このメッセージは毒気に満ちており危険である。

アダムスはこのような思想がトランス女による女子トイレ使用禁止といった法律につながるのであり、トランス女を女性と間違えて軟派した男が「あいつは野郎だぜ」と仲間にからかわれて21歳のトランス女を殺害するに至るという原因となったのだという。アダムスは50人を超すトランス女がそういうふうに殺害されたと主張する。カカシはこの数値はかなり眉唾ものだと思う。だがそれがたとえ真実だとしても、ハリウッドが男性俳優をトランス女の役に起用することが寄与するものだという考えは飛躍しすぎだ。

先ず俳優というのは定義上役柄に扮するのが仕事である。自分ではない他人を装うのが仕事だ。であるから普通の男優がトランス「女」に扮するのは、彼にとってはもうひとつの役柄に過ぎない。歌舞伎や宝塚で役者が異性の役柄に扮するのが普通の日本出身のカカシにとって、役柄と俳優の性別が一致しないことなど別にとりたてて騒ぎ立てるようなことではない。ましてやトランス女は元々男である。男が演じて何が悪い?

いったいGLAADの連中は何にそんなに神経を尖らせているのだ?

トランスジェンダーは人口の0.03%にも満たないという。その非常に小さい少数派のなかから役柄にぴったり当てはまり、しかも映画やテレビの主演級俳優として成り立つ人材を探すのは容易なことではない。それはまるで宇宙飛行士の役は宇宙飛行士しか演じてはいけないと言っているようなもので、実際の宇宙飛行士で年齢や性別や人種がぴったり合う人を見つけるだけでも大変なのに、しかも演技が出来るひとを探すなど不可能に近いだろう。いや、それをいうなら役柄が人間でなく吸血鬼やゾンビだったらどうするのだ?本物の吸血鬼やゾンビを探せとでも言うのか? 頼むよ~!

もう何十年も前のことになるが、ロンドンのミュージカルでミス・サイゴンのベトナム人とアメリカ人の混血児の主役を白人男優が演じることが問題になったことがある。しかし反対に100%東洋人男優(たとえそれベトナム人でなくても)を起用した場合には問題にならなかったといういきさつがあった。

このダブルスタンダードはアダムスも例外ではない。アダムスはハリウッドが流行の先端を行きたいのなら、トランス俳優をトランスではない役柄につけるべきだという。なぜなら(社会の傾向は)その方向に向かっているからだと。そしてトランス俳優がどんな役柄も演じることが出来ると一般視聴者に解ってもらうことにも役立つという。

ここにアダムスの理屈に矛盾が生じる。普通の男優がトランス女を演じるのは許されないが、トランス俳優が自分とは医学的に異性の性の役柄を演じるのは歓迎されるべきというのである。

アダムスは自分の言っていることがどれほど皮肉な現実を表しているかに気がついていない。だいたいトランスジェンダーこそが究極のコスプレだ。アダムスはトランス女でない普通の俳優にトランス女の現実は理解できないという。だがそれを言うなら、生物学的な男が鬘をつけドレスをつけ化粧をしただけで本物の女のなんたるやを理解するなど不可能だ!たとえどれだけの女性ホルモンを摂取し去勢手術や豊胸手術を受けようと男の遺伝子を女に変えることなど出来ないのである!

そういう男に生まれた人間が女装しただけで女と言い張ることを許せと要求する人間が、男に生まれた俳優が男に生まれた女装男の振りをすることを許さないという理屈はどこからくるのだ。男が男を演じて何が悪いのだ?

鬘をつけドレスを着て化粧しただけの男を女と認めろというGLAADなんかより、ハリウッドの配役の方がよっぽどもまともだと思うね。

September 2, 2016, 現時間 6:23 PM

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