October 6, 2015

オーストラリアの銃取締法は効果があったのか?

この間の乱射事件直後まだ犯人が誰かもわからないうちからオバマ王はまたぞろ銃砲取締法の強化を主張しはじめた。最近こういうことがあると必ず持ち出されるのがオーストラリアの銃法。豪州は1996年に35人の犠牲者を出した乱射事件を期に全国的な厳しい銃法を施行した。銃法を所持していた市民は銃提出を強制され、提出された銃を政府が税金5億ドルをかけて買い取った。さて、あれから20年、もし厳しい銃法に効果があったのだとしたら、さぞかしオーストラリアは平和な国になっただろうなあと思いきや、それが一口にそうとは言えないのである。

2012年のワシントンポストの記事を読んでいると、全国的な銃法買取りにより凶悪犯罪が激減したとされるが、よくよく統計を見てみるとそう単純な結論を出すことはできない。

2012年のオーストラリアナの調査結果によると、銃による殺人事件は銃法施行後59%も減り、銃法による自殺は65%も減ったとある。しかし豪州は元々殺人事件数はあまり高くなかったので統計的には意味がないとしながらも、自殺数の減少は特筆すべきと同誌は強調している。

しかしにフリーリパブリック掲示板に載ったエントリーの解釈はちょっと違う。

銃法施行後の1997年から2007年の10年間、確かに銃による自殺は減ったが、何故か銃による事故死が1997年の銃法施行以前の三倍に増えているというのだ。また殺人事件ではない凶悪犯罪が法律施行後激増した。別の記事で読んだのだが、それまでに考えられなかった住人が在宅中の住居への強盗事件も激増したという。

傷害事件は1991年の8倍、法律施行後の2倍となり、凶器を使った強盗や泥棒は銃法施行後1997年から2002年で二倍となった。確かに銃による殺人事件数は減ったが、その分ナイフなどを使った殺人事件が同率に上がってしまったため、殺人事件数そのもには変化がなかったという。またこの間、強姦事件は5.1割の増加をみている。

2015年9月のフェデラリストの記事によると、銃法施行後に自殺が殺人率が激減したというのは嘘で、減ったのは銃による殺人や自殺であり、銃を使わない殺人や自殺は激減した事実はない。

1996年当時に比べて現在のオーストラリアの犯罪率は減っているというのは事実。しかしながら、銃法施行直後の数年は犯罪が帰って増えていた。犯罪率が減り始めるのは銃法施行後10年くらいたってからである。何故豪州の犯罪率がここ10年減っているのかについては色々理由があるだろうが、もしも銃法が理由であったなら、思考直後の犯罪増加や法律施行後10年もたってからの犯罪率減少の説明がつかない。2008年にメルボルーン大学が発表した調査でも銃法強制買取が殺人率を減らすのに役に立ったとはいえないという結論をだしている。

もっと興味深いのは同時期、オーストラリアの二倍は銃所持率を誇り、厳しい銃法を全く通していないアメリカでも凶悪犯罪が減少の傾向をみせているという事実である。これについては2013年にカカシも書いている。

二十年の間に銃による殺人事件は半数に、他の銃犯罪も急激な減少をみせている。減っているのは銃犯罪だけでなく、犯罪全体がアメリカで劇的な減少をみせているのだ。1993年から2011年の間に銃殺人はなんと39%も減ったという。これが殺人に至らない銃による傷害事件になると69%も減ったというのだから驚く。無論、銃はアメリカの殺人事件ではもっとも頻繁に使われる凶器で、三件のうち二件は銃殺人だという。また同調査では被害者が銃を使って身を守ったという件は1%にも満たなかったという。(略)1990年半ばから20年に渡って銃犯罪激減の原因として考えられるのは、申し込み次第許可が降りる銃砲携帯許可法(CCW)が全国各地に広まったことだ。CCW法は2002年から2012年の間でなんと29州から39州にとひろまった。

というわけで、銃法取締りを厳しくしたオーストラリアでも、銃法携帯をたやすくしたアメリカでも凶悪犯罪は減る傾向にあるとなると、一概にどちらの方針が犯罪減少の役に立っているのかとは言えないことになる。

ところで、これはどこで読んだのか今は資料がみつからないのだが、オーストラリアは1996年の銃法買取が行なわれ、6億丁の銃法が破棄されたそうだが、20年後の現在、オーストラリアにはそのほぼ同数の銃が出回っているというパワーラインに寄せられたコメントでもそういう話が載っている。

諸外国の銃法取締法を持ち出してきて、アメリカも見習うべきだというのであれば、実際に諸外国の法律がどういう効果を上げたのか、きちんと調べてから物を言って欲しいものだ。

October 6, 2015, 現時間 10:03 PM

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