January 10, 2013

銃規制以来銃犯罪が急増している英国

この間、CNNのピアース・モーガンの番組に銃保持権利活動家のアレックス・ジョーンズというラジオトークショーホストがゲストで出演した。ジョーンズはモーガンの米国憲法修正案第二条に対する批判に腹を立ててモーガンの国外退去署名運動を始めた張本人。はっきり言って銃保持権支持派からするとジョーンズは理想的な代弁者とは言い難い。ジョーンズは感情に走るだけで何故自分が銃規制に反対なのかはっきりと説明できていないからだ。無論モーガンの狙いは最初からジョーンズをけしかけて、いかに銃支持派が論理立てた主張の出来ない感情的な田舎モンであるかを視聴者に見せるつけかにあったわけで、ジョーンズはまんまとモーガンの作戦に乗ってしまったのである。

特にこの番組のなかでモーガンは英国の銃殺人事件は35件なのに対してアメリカは11000件の銃殺人事件が起きていると何度も繰り返した。統計などには興味のないジョーンズはそれに関する質問には一切答えず、アメリカ人から銃を取り上げたら革命が起きるなどとまくしたてていた。

モーガンは銃規制が銃犯罪を減らせるという誤った前提から話しているのに対し、ジョーンズは銃保持はアメリカ国民の基本的な権利であるという立場から話しているので、二人の会話には全く接点がない。

もしもジョーンズが統計資料を出してモーガンに反論できるような人間であれば、モーガンが振り回している数字が如何に銃規制議論に適切でないかを証明することは簡単に出来たはずだった。というわけで、ジョーンズにかわってモーガンの穴だらけの理屈に挑戦した地方テレビ局の司会者が居たので、そちらを紹介しておこう。

モーガンの屁理屈に挑戦したのはオハイオ州シンシナティ市のフォックス系地方局のベン・スワン。スワンは先ずピアスが振り回している英国と米国での銃殺人の35件対11000件について説明する。

アメリカでは12664件の殺人事件が起き、そのうちの8583件が銃によるものでした。しかしそのうちの400件は警察、260件は一般市民による正当な発砲であったと判断されています。

ということはアメリカの銃殺人犯罪は7923件でモーガンの言う11000より3077件も少ない。またスワンによると英国の銃殺人数も35件ではなく57件であるという。ま、それでもアメリカの方が銃殺人犯罪件数は桁違いに多いことは確かである。ただ、問題なのは人口がイギリスよりずっと多いアメリカの絶対件数だけを比べてみてもアメリカの方が犯罪率が高いかどうかは解らない。それに、銃規制の厳しいイギリスと銃社会のアメリカとで銃犯罪の数だけを比べるのもおかしい。犯罪を減らすために銃規制が必要だというのであれば、イギリスは銃規制によって銃犯罪だけでなく犯罪全体の傾向がどのように変化したのかという話をしなければ意味がないのである。

合衆国は世界でも銃所持率が一番高い国です。にもかかわらず10万人あたりの銃殺人犯罪の率は世界で28位の2.87件です。

どうやらスワンはカカシと同じ統計を読んだらしい。さらに銃犯罪だけでなく犯罪率全体でみてみると、「英国の暴力犯罪は10万人あたり2034件」なんだそうで、アメリカの466件の四倍以上。スワンはモーガンのような人間は何かとアメリカは英国から学ぶべきだというが、我々が学ぶべきなのは、暴力犯罪の原因は銃でも他の道具でもないということだと締めくくる。

ところで銃規制の厳しい英国で近年銃犯罪が増加しているという統計がある。

英国政府の発表によると、イングランドとウェールスの銃犯罪は2011年35%も増えたという。犯罪者が拳銃を使った件数は46%も増えた。

銃砲が犯罪に使われたのは2010年の7362から2011年の9974件と大幅な増加をみせている。銃犯罪率は四年連続で増加しており、2010年の銃犯罪数は前回のピークだった1993年より2200件も多かった。

拳銃による犯罪はダンブレーン大量殺人事件後の銃砲禁止法の頃の1997−1998年の2636件から現在の5871件と倍以上に増えている。

次にモーガンがイギリスの銃犯罪とアメリカのそれを比べ始めたら、こういう事実をふまえて反論する人間をテレビで観たいものだ。

January 10, 2013, 現時間 8:44 PM

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