December 21, 2012

銃を廃止すると犯罪が増える、事実を認められないCNNアンカー

この間、銃犯罪研究の専門家の統計学者ジョン・ロット教授がCNNのインタビューで、銃を廃止した地域は国内でも国外でも犯罪率が増えていると語った事に対して、司会のピアース・モーガン(イギリス人)はヒステリックにロット教授を嘘つき扱いした。

申し訳ないですが、それは全くの嘘です。完全な嘘です。英国での銃殺人は平均して一年に35件です。諸外国で何が起きているのか、そういうあからさまな嘘を繰り返すのはやめるべきです。

(ロット教授をさえぎって)

いいえ、言い逃れはできません。あなたはこの間も嘘をついた。英国の銃殺人は35件です。アメリカでは11から12000件です。嘘は止めてください。あなたのせいでアメリカ人が自分たちを守ろうとするのですから。

モーガンの理屈にはおかしな点がいくつかある。ロット教授は銃廃止により犯罪全般が増えると語っているのであり、殺人数だけに話を絞ってはいない、ましてや英国の銃殺人の数とアメリカのそれを比べてアメリカの方が少ないなどという話もしていない。モーガンはわざと話を銃殺人に限定することにより、教授を嘘つき扱いしているのだ。

しかし、CNNが使っ殺人数だけの資料においてすら、教授の提言は完全に証明されている。

英国で小銃が完全廃止になった1996年の時点の殺人数は600件。小銃廃止後の殺人数は急上昇し、2003年のピーク時には950件にまで上った。その後英国は犯罪取り締りや罰則を厳しくしたりといった対策を取り、2011年現在600件に近い数値になっているが、1996年当時の数までには下がっていない。

これが銃殺人だけでなく、銃による犯罪全般となると、銃廃止後の急上昇には目を見張るものがある。

小銃が廃止された1996年当時、イギリスの銃犯罪の率は6000件から5000件程度に下がりつつあった。それが小銃廃止後2006年のピークにかけて倍近い数に急上昇している。その後警察により取り締りがきびしくなったせいか2011年現在では7000件まで落ちているが、小銃廃止が通る以前の低さには下がっていない。

ところでここで注目するべきなのは、これらの数字は「銃を使った犯罪」に限定されているということだ。銃が廃止されたのに銃犯罪が増えるということは、犯罪者の銃獲得はそれを禁止する法律とはうらはらに、なんら支障を来していないということになる。この法律によって銃を失ったのは合法に銃を所持していた善良な市民だけである。

また、犯罪は銃を使ったものだけとは限らない。銃所持がほぼ全面的に禁止されている日本で凶悪な犯罪が絶えないとこでもわかるように、犯罪はナイフや他の狂気、もしくは素手によっても犯すことはできる。そういう時か弱い女性やお年寄りが自分や家族の身を守るには銃が一番効果がある。

これは別の調査によるものだが、イギリスではアメリカと比べて家主が在宅する家に強盗がはいる率がアメリカのそれにくらべてずっと多いという。それというのも、イギリスでは家主が銃で強盗に反撃する可能性がアメリカに比べてずっと少ないからである。

こうしたことを考慮にいれると、モーガンのイギリスとアメリカにおける銃殺人の件数だけを比べることの愚かさが歴然とする。

December 21, 2012, 現時間 9:45 AM

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コメント

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下記投稿者名: mhgt

モーガンさんには、イギリスに帰ってもらいましょう。

私が非常に気に食わないのは、自分の責任でアメリカに来ておきながら、アメリカにある法律や風習など、あ~だこ~だと文句いう移民が多いんですよね。

日本でも銃規制して欲しいという意見は聞きますけど、
「じゃ~来なきゃいい」私が思うのはそれだけです。

社会や経済などで人の心がギスギスしてきた社会を作り上げてきた・・と言う原因は全く無視して、銃だけコントロールすりゃ良いと思ってる人間が、非常に多すぎなのには驚きますね。

NRAには長い歴史があります。長い歴史の中で、学校乱射問題が起こり始めたのは、ここ20年位です。

ここ20年間の社会の移り変わりを、一度振り返ってみると、
やはり、リベラリズムの威力と関連してると私は感じてしまいます。

上記投稿者名: mhgt Author Profile Page 日付 December 21, 2012 11:53 AM

下記投稿者名: Sachi

見えない道場本舗でこのエントリーの紹介がある。

===================
当然自分はこれのリスニングなんぞできないが、(略)なんで肝心のトーク部分を聞いても分からないのに紹介するかというと、雰囲気が実に剣呑であることに加え、ここで司会者らと激しく論戦(というか孤立無援)のジョン・ロット先生は、はてなの人気ブロガーの一人である、つまり山形浩生氏が訳した

その数学が戦略を決める (文春文庫) 作者: イアンエアーズ,Ian Ayres,山形浩生 出版社/メーカー: 文藝春秋

に登場するひとだからだ。

・・・・・他に、絶対計算自体が正しいかどうかが問われることもあり、本書では、ジョン・ロットという研究者の「銃所持と犯罪数」の研究を例としてあげている。計算が正しいかどうかが議論になったテーマなのだ。
====================== カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 December 22, 2012 10:58 PM

下記投稿者名: Sachi

マックさん、

NRAのラピエールさんも言ってますが、ハリウッドの映画だのビデオゲームだのラップだのと、暴力を奨励し煽るメディアムがわんさか溢れているのに、無機物の銃に責任があると言うのはあまりにも単純すぎて馬鹿馬鹿しいったらないです。

カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 December 22, 2012 11:05 PM

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