February 2, 2011

エジプト紛争はオバマのイラン革命なのか?カーターの無策を思い出させるオバマの不能さ

エジプトにおける革命につながる大紛争はすでに二週目を迎えたが、このエジプトに対するオバマ王の政策、というか無対策には、野党の共和党からかなりの批判が集まっている。ザ・アトランティックがそのなかでも注目すべき三つの批判を提示している。

批判その1、オバマはジミー・カーターだ。

エジプトの今の状態は1979年のイラン宗教革命前夜と酷似している。

当時のイランはモハンマド・レザー・シャーという国王が国を統括していた。シャーは独裁者であり国は王族主義のファシズム的な政府だったが、親米だったということと、中東でも比較的文明主義だったことから、中東における同盟国としてアメリカにとっては大事な存在だった。ところが、ファシストが嫌いだったカーターは、それまでイランに駐在していたCIAを撤退させ、シャーに国の民主化を促し圧力をかけていた。

イラン政権とアメリカとの亀裂を利用して、両国に出来た隙間からもぐりこんできたのがフランスに亡命中のアヤトラ・ホメイニだった。イランから諜報部を撤退させてしまったアメリカは、イランでの宗教革命を全く予測できなかった。

今回のエジプトの紛争も、オバマ王政権の諜報部はあらかじめ予測できなかった。オバマ政権は、カーターがイランの時にしたように、エジプトにおける大事件の兆候を見逃していたのだろうか。この批判は今後エジプトの状態がどのように展開するかでさらに大きくなるだろう。

この革命によって、ムバラク政権が倒れ、民主的な自由政府が設立した場合はいい。だが、もしもイランの時にようにイスラム過激派が政権を握ってしまったらどうなるのか。今回の紛争を起こしたのはイスラムブラザーフッドと呼ばれるイスラム教テロ団体だ。このどさくさでエジプトがイランの時のように宗教革命に成功したら、アメリカにとって独裁者のムバラクが政権を握っているよりずっと危険な状態になる。

批判その2 オバマはブッシュ政権のエジプト民主化政策を維持しなかった。

ブッシュ前大統領は、単にアメリカに敵意を見せていないというだけで非情な独裁政権を支持すべきではないと断言した。ブッシュはアメリカは世界に多くの民主主義国家が出来るように常に努力すべきだという信念を持っていた。だから、アメリカの都合のいいように利用することも出来たサダム・フセイン政権をわざわざ倒し、その後も本当の傀儡政権を立ててイラクを実質的な植民地にしてしまうことも出来たのに、民主政権設立のためにアメリカ軍人の命を犠牲にしてまで長々とイラクの民主化のために戦った。

しかし、オバマ政権はブッシュ政権の世界民主化拡大方針を捨ててしまった。その理由は単純にそれがブッシュの方針だったからだと共和党のノーム・コールマン上院議員は言う。もしもオバマがエジプト国民の動きに目を光らせていたなら、ムバラクが永遠に権力を保持できないことは明らかだったはずで、ムバラク政権以外のエジプトの将来を考えることも出来たはずだとコールマン議員は言う。

エジプトは中東でも一番民主化の可能性のある国だった。イスラエルとも何年も戦争をしていないし、たの中東諸国と比べて文明化も進んでいる。オバマがブッシュ政権の方針を受け継いでエジプトの民主化にもっと力を入れていたら、今頃はエジプトは民主主義の幼年期を迎えていたかもしれない。

ところが、オバマはなにもしなかった。エジプトでイスラム過激派が何度もムバラク暗殺をたくらんだり、ブッシュ時代にはシリア勢が撤退するというところまでいったレバノンは、いまやヘズバラに政権を乗っ取られそうな状態だし、チュニジアの内乱やイエメンでもデモ行進など、ブッシュ政権の自由主義拡大方針が遺棄されたことによる結果だという批判もある。

ブッシュ政策はくだらないと笑に付していたオバマ政権は、こうしたことが起きるたびに寝耳に水という態度で、まったく対策が立てられないでいる。

批判その3 オバマはエジプトをイスラム過激派に委譲しようとしている。

実を言うと私はオバマがブッシュ政権の方針を継続しなかった理由は、単にそれが自分のライバルだったブッシュの政策だからということではなく、オバマ自身が中東の民主化を望んでいないからなのだと思っている。だからオバマは無策でことの展開に驚いているというより、意図的に中東をイスラム過激派の手に渡したいのだとカカシは考える。

イランでも民主化を目指し国民による抗議運動がかなり激しく行われた。今回のエジプトの紛争では、一方的に抵抗勢力の方を支持しているオバマだが、イランの時は抵抗している庶民に対して暴力のお抑制を促し、イラン庶民に対する支持を全くみせなかった。今回のエジプトの紛争では抵抗勢力のなかにイスラム過激派が多く含まれている。いや、イスラム過激派が抵抗運動を扇動しているといってもいいくらいなのだ。

オバマ大統領は就任直後の謝罪ツアーで、エジプトのカイロで悪名高き「話せばわかる」演説を行ったが、モスラムブラザーフッドは我々とは全く違うと元下院議長のニュート・ギングリッチ氏。エジプトがイランのような宗教独裁国家に成り果てる可能性を警告した。

エジプトでムバラクが失脚したからといって、エジプトが民主主義国家になるという保証は全くない。いやそれどころかギングリッチや他の批評家たちが指摘しているように、イランのように反米で過激でもっと独裁的なイスラム宗教国家となってしまう可能性のほうが大きいのである。安易に抵抗勢力の味方をしてムバラクの辞任を促すのは危険だ。

第一、ムバラクが抵抗勢力の鎮圧に成功して生き残ったらどうなるのだ?そうなったら、ムバラク政権がこれまでのようにアメリカに協力的な姿勢を示すことは期待できない。

なんにしても、オバマ王のやっていることはアメリカにとって危険なことだらけである。

February 2, 2011, 現時間 6:27 PM

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