December 12, 2010

『サラ・ペイリンのアラスカ』テレビドキュメンタリーにうろたえるエリート保守派たち

この間、サラ・ペイリン前アラスカ州知事が、アラスカの生活を紹介するドキュメンタリーに出演中だという話はしたが、リベラル連中が批判するのは当然のことながら、何故か保守派からもペイリンのテレビ出演を批判する声が多く聞かれる。

先ず断っておくがペイリンが出演している番組は、今アメリカで流行っている俗に言われるリアリティーショーとは違う。

リアリティショーというのは特に芸のない連中が自分らの私生活を演技をするでもなくカメラで追わせるというだけの代物。他人の私生活など観て何が面白いのかと私は思うのだが、出演者が美男美女だったり、風変わりな生活をしてる人だったりすると、覗き見趣味的な感覚で観る人が結構いるらしく、カダンシアンという美女姉妹のリアリティショーとか八子を持つ夫婦(今は離婚して母親のみ)のショーなどは大人気でもう数シーズン続いている。(アメリカの番組は一年ぶっ通しでやらずに一定の期間だけやって後は再放送となる。)

ペイリンの番組はリアリティーショーを多く放映しているTLCという放送局で制作されてはいるが、その内容はこうしたくだらないものではない。これはよく日本でも放映されている芸能人などがホストになってする旅行記で、ペイリンはアラスカの自然や産業やアウトドアのスポーツなどを自分も挑戦しながら紹介していくというもの。

アラスカ紹介番組を放映するなら、元アラスカ知事で人気者のサラ・ペイリンは適役だ。それを番組を観てもいないくせに、ペイリンは100万ドルが欲しくて家族のプライバシーをさらしているとか、こんな下世話な番組に出た以上今後大統領になどなれないだろうとか、ブッシュ前大統領の政治アドバイザーだったカール・ローブなどを筆頭に旧保守派らから蔑みの非難が集まっている。

リベラル連中がペイリンを嫌うのは理解できるが、なぜ一部の保守派たちはこうもペイリンを毛嫌いするのだろうか?

その理由はこの番組を観ていると明らかになってくるのだが、ペイリンはいわゆるエリートではない。政治家としてもワシントンDCで長年キャリアを積んで来たわけでもない。彼女のルーツはあくまでアラスカである。彼女は漁師の妻であり、5人の子供の母であり、自分で漁にも出るし、アラスカの長い冬を超すために自ら狩猟に出かけ食料確保をしたりもする。若い頃はアラスカの若者なら誰でも一度はする魚の缶詰工場でアルバイトしたりもしてきた。

彼女がワズィラ市の市長になったのも主婦として地方政治のやりかたに疑問を抱いたことからはじまったわけで、後にアラスカ州知事になったのも、州のベテラン共和党知事とその一家の汚職に挑戦してのことだった。

つまり、彼女は政治家にありがちなエリート大学出身の元弁護士などではなく、肉体労働もいとわない田舎州出身の主婦なのである。それがエリート保守派の連中には気に入らないのだ。

もうひとつ、旧保守派で特に中高年の男性の間でよく見られることなのだが、ペイリンが元ミス・ワズィラになったほどの美女であることにも抵抗があるようだ。旧保守派の男性の間では、リベラルがいうところのステレオタイプな男尊女卑思考を持った人間が少なくない。保守派の男性は紳士が多いので、あからさまに女性に失礼なことは言わないが、といって女性を同等に思っているわけではないのだ。

特に美しい女性に関しては、デートの対象としては大事にしても、才能の面では下に見ている。女は可愛くあればいいのだ程度にしか見ていない。

それでも女性がどう見ても美人でない場合は我慢出来る。性的対象になり得ないような女性なら、自分らの性欲をそそられないから女性というより中性な政治家として見ることが出来るからだろう。それが、美しい女性となるとそうはいかない。頭脳明晰で才能ある女性が美人だなどという事実は保守派のおっさんたちの頭ではプロセス出来ないのだ。そんな女性に性欲をそそられたら自分らの弱さを認めるようで許せないのだ。

だからサラ・ペイリンのような保守派美人は頭の固いエリート保守派には理解できないし受け入れられない。

それで本来ならば保守派にとって強い味方となり得るサラ・ペイリンをリベラルのアホどもと一緒になって批判するエリート保守派たちの馬鹿さ加減。まったくやっかいな話だ。

ペイリンが大統領になるためには、こうした一部保守派もいずれは味方につけなければならない。ペイリンに投票するくらいならオバマに第二期目をやってもらいたい、なんて馬鹿なことをいう保守派連中が現れないためにも、これからのペイリンの活動は注目される。

December 12, 2010, 現時間 4:41 PM

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下記投稿者名: mhgt

ペイリンが大統領選に出る、立候補するとなったら、オバマの勝ちです。それだけは思います。
理由付けなし。理由あっても無くても、彼女が立候補したら、終わりだという事です。

ある保守が彼女を怪訝する理由も私は、理論的じゃなくて、生理的に分かります。オバマが2期目をしないために、ペイリンには引き下がってもらいたい。

美人だって言う理由じゃないんだよね。オバマと同じ感想を彼女に持つ人は、多いのです。

上記投稿者名: mhgt Author Profile Page 日付 December 15, 2010 12:26 PM

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