July 9, 2010

オバマ対アリゾナ、動かない連邦政府に苛立つ地方政府その2

きのうに続いて、連邦政府の無策に嫌気がさした地方政府の行動力と、自分ではなにもしないくせに他人の解決策は阻止しようとするオバマ王政権の陰謀について続けよう。

アリゾナ州では違法移民を厳しく取り締まる新しい法律が7月末から施行されることになっているが、これに対して遂に連邦政府司法省はアリゾナ州の法律は憲法違反であるとして正式に起訴した。アリゾナ対連邦政府の戦いがいよいよ始まったのである。

連邦政府の言い分は、移民法の施行は連邦政府の管轄であり州が勝手にすることではない、というものだが、アリゾナ州の言い分は連邦法律にのっとって取締法をつくっただけであり、連邦法律とは矛盾していないとしている。つまり、法律だけあってもその施行を全くしていない連邦政府に代わって、それなら地元が対策をたてましょうっという意図でこの取締法は作られたわけである。

もともと連邦政府が国境警備にきちんと力をいれ、違法移民の取り締まりを行っていれば、なにもわざわざアリゾナ州が出てくる必要はなかったのだ。それを自分たちは何もしないでおいて地元が行動を起こすとそれは阻止する。まったく頼りにならないくせに連邦政府に頼らないのは違憲だときたもんだ。まったくやってらんないね。

オバマ王は最初から国境警備などする気はない。なぜならば、国境警備に力を入れてしまうと、自分がもとめる移民法改正案(違法移民の完全恩赦)を通すための切り札を失ってしまうからだ。オバマとしては移民法改正を条件に国境警備に取り組みたいのであって、それなしで国境警備強化などありえないのだ。

はっきり言って、ブッシュ前大統領の移民法改正案が通っていれば、今頃は国境壁が建てられていたことだろう。保守派がかんしゃくを起こして恩赦でない改正案を恩赦恩赦と騒いで反対してつぶしてしまったおかげで、今度は本当の恩赦を通さなければ国境壁の建設は不可能となってしまったのだ。これだから私は純血主義の保守派は嫌いなのだ。

ま、それはともかく、ここでもオバマ王はかなり計算違いをしていると思う。オバマ王はアリゾナの法律を阻止し、移民法改正案を通すことでラテン系の票を集めたいのだろうが、アメリカ市民は保守派のみならず無所属やリベラルの間ですらも違法移民にはそれほど同情的ではない。

特に、オバマの圧倒的支持者である労働組合が、違法移民によって自分らの職が脅かされると感じたら、オバマなど手のひらを返すように見放すであろう。労働組合の力は強い。単なるラテン系有権者よりも数だけでなく、その政治力がものを言う。

移民法改正で多少ラテン系の票を集めたとしても、労働組合に見放されたらオバマに勝ち目はない。そして無所属や民主からも支持を失えば、民主議席を多数に保つことは困難になる。

オバマ対アリゾナ、この裁判を選挙の年にはじめるというのは、政治的に非常に愚かなことだ。

メキシコの治安は悪化の一途をたどるばかり。毎日のようにメキシコの暴力団による国境沿いのアメリカ市民の被害が取りざたされている今日、連邦政府が国境警備に関してなにもしていないという印象を強く市民に与える話題をつくってしまうことに何の意義があるというのだ? 私が選挙を前にした民主党員なら「私はオバマ王とは関係ない」という態度をとりたくなるだろうな。

July 9, 2010, 現時間 10:33 AM

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