June 18, 2010

ルイジアナ州知事の湾岸清掃作業を湾岸警備隊が阻止、連邦政府の遅い対応に地元政府の怒り爆発

ハリケーンの真っ最中に泣いてばかりでおろおろした姿を記者会見で見せていた民主党の前知事とは対照的に、現在のルイジアナ州のボビー・ジンダル共和党知事は行動力抜群。今回の原油流出事故に関しても、事故当初から連邦政府に解決策を色々と提案し要請してきた。

ここでもう一度アメリカの連邦制度について明らかにしておきたいことがある。カカシがハリケーンカトリーナでブッシュ大統領を責めるのはお門違いだと言った理由は、天災における地元市民避難命令や州兵の出動は地元市長や州知事の管轄であり、連邦政府は地元からの要請がない限り赤十字を送り込むことすら出来ない。大統領に出来ることは地元を緊急被災地帯と指定して、地元からの要請があり次第救援団の出動が出来るよう待機することだけなのである。カトリーナにおける連邦政府からの援助に遅れがあったとすれば、それはひとえに地元政府が不能だったため連邦政府への要請が遅れたのが原因だ。

しかし、今回の場合、沖合の原油発掘は連邦政府が直接の管轄にある。湾岸の州は近所だから迷惑は被るが、流出した原油の処理に関する決断は連邦政府に頼るしかなく、地元からの必要事項を連邦政府に嘆願することはできても、自ら勝手な行動に出ることは出来ない。

しかしだからといって、流出する原油による被害が湾岸で広がっているのを、州政府は指を加えて観ているわけにはいかない。

それで、ルイジアナ州知事のボビー・ジンダル氏は事故当初の5月11日に、オバマ政権に緊急に浚渫作業をはじめること、油の拡大を阻止するための防御壁建設を要請した。

しかし二週間たってもホワイトハウスからは何の応答もなく、ジェイク・タッパー記者がオバマへの記者会見でそのことについて質問してから、やっと重い腰を上げることとなったのだが、ホワイトハウスから出た防御壁建設許可は要請のたった2%というもの。こんなのは何かやってるうちにはいらない。

いや、むしろ、やわに「浚渫作業なんて許可しないよ〜」と言ってるのと同じだ。

「大統領は全く解ってないようです。」とルイジアナ代表デイビッド・ビター上院議員。「大統領の緊急浚渫防御壁に関する決断は駄目だという答えの隠れ蓑でしかありません。要請のたった2パーセントの許可をして、後は何ヶ月後かに先送りするなど、豪語同断です、まったくひどいです!」

という話が出ていたのが今月一日の記事だ。

ホワイトハウスの重たい腰に嫌気がさしたジンダル知事は、数日前、ホワイトハウスの許可を待たず、州軍を出動させ防御壁建設に乗り出した。また、それとは別に湾岸の原油吸引作業も始めた。ところが、なんと、防御壁建設許可を出すのにはぐずぐずしていたオバマ政権は、はじめた吸引作業を阻止するために湾岸警備隊を出動させることには迅速だった。

今日のニュースによれば、オバマ政権はジンダル知事の始めた原油吸引作業は危険だとかいういいかがりをつけて、湾岸警備隊を送り込み、作業の一時停止を命令した。

(注:先のエントリーで、カカシは防御壁の建設と原油吸引作業をごっちゃにしていたので訂正した。湾岸警備隊が阻止したのは原油吸引作業の方である。これについては詳細はまた次回お話する。)

ABCニュースのビデオを観ていたら、原油吸引機はすでに現場に配達されており、人員も整っているにも関わらず、作業開始の許可が上から降りてこないという。ジンダル知事は何度もホワイトハウスに電話をしているというが、電話をかけるたびに責任者が替わり、いったい誰が清掃作業の責任者なのかさっぱり解らないと言う。

また、アラバマ州ではボブ・ライリー(共和)知事が、打ち寄せる高波を防ぐ機械の要請をしたが、バルレーンまで取りに行った機械は、何の説明もなくルイジアナに配達され、原油まみれの波はアラバマ湾岸に打ち寄せた。いったい責任者は誰なんですか、という記者の質問にライリー知事は、こっちが聞きたいよ、といった返事をしていた。

このニュースの題名は「責任者は誰か」というものだが、日本語風にいえば「責任者出て来い!」てなもんだろうな。

この間のオバマ王の中身のないテレビ演説でも、オバマ王は対策チームにノーベル賞受賞した物理学者がいるとかなんとか、そのメンバーの名前を羅列していたが、チームに何人専門家がいようと、いったい誰がチームリードで、誰に決断権があるのかがはっきりしなければチームは機能しない。

誰にどんなすばらしいアイデアがあろうと、そんなことをぐずぐず話あっている暇はないのだ。

それに、環境庁とか労働省とか、訳の解らない連邦政府の役所が清掃作業にいちいち口をだしてきて、その度に湾岸警備隊は作業を停止せざるおえなくなり、作業が全く思うように進まないという。これにしたって、オバマ王が、湾岸警備隊が受ける命令筋をひとつにしておけば、こんな混乱は起きないはずなのである。どうしてオバマ王にはこういう初歩的な技能がないのだ?

自分に出来ないなら、出来る人間に任せればいいではないか。そのための対策チームではないのか?

ここでシニカルな見方をするならば、ルイジアナ州もアラバマ州も民主党支持ではないので、どうなってもかまわないというオバマの計算があるのかもしれないということだ。どうせ両州はオバマや他の民主党議員を支持するわけではないから、放っておいてもかまわないという。

だが、それが本当ならこれはひどい計算違いになると思う。何故ならこのニュースはローカルニュースだけが報道しているわけではなく、ABCのような全国ネットの主流メディアが映像入りで毎日のように報道しているからだ。オバマ大統領に対して直接的な批判はしなくても、地元州知事らが現場でホワイトハウスへの不満を隠せない映像が何度も流されれば、他州の国民もオバマへの不信感を高めることになる。対応が遅れれば遅れるほど、オバマ王にとって悪い状況になっていくのだ。

それだけでも、オバマ王が対策に乗り出す動機になるはずなのだが、、やる気になっても能力がなければ、、、

June 18, 2010, 現時間 9:02 AM

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