October 10, 2009

アフガン戦況悪化、フェミニストは何をしてるのか?

1998年、タリバンがアフガニスタンの政権を握った時、ビル・クリントン政権は、タリバンが女性の人権を保証しない限り、タリバンを正式なアフガニスタン政権としては認めないと宣言した。このことを熱狂的に支持したのは、全米女性機構(NOW)である。女性の人権向上をモットーと自負するNOWがタリバンの女性虐待と戦うのは当然の話だ。

2001年911多発テロ直後の10月、ブッシュ政権はアルカエダの首脳部をおとなしく差し出さないなら武力行使も問わないとして、タリバン政権に事実上の宣戦布告をした。タリバン政権による女性虐待に激怒していたNOWはこのブッシュの決断に歓喜しブッシュ政権によるアフガニスタン侵攻を全面的に支持し応援したか、、と言えばそんなことは全くなかった。

2001年以前はあれだけアフガニスタンのタリバンによる女性虐待に関する記事を多数掲載していたNOWの公式サイトでは、アメリカがアフガニスタン戦争を始めた2001年10月以降はほとんどアフガニスタン関連の記事を掲載していない。

ほんのたまにNOWがアフガニスタン関連の話題を取り上げたのは、それによってブッシュ政権を批判する時だけだった。下記の2002年5月の声明文においては、女性虐待の最たるタリバン政権を倒し、アフガニスタンに民主主義を復興しつつあるブッシュ政権の努力を評価するどころか、NOWはブッシュ政権は女性の人権復旧に努力していないと逆にブッシュを批判している。

女性の人権が完全に復旧されない限り、アフガニスタン臨時政権の成功はあり得ない。アフガンの女性や少女たちの人権は女性が平等に参加できる真実の民主主義なくしては保証されない。ブッシュ政権はアフガニスタンと世界にした約束を守らねばならない。その第一歩として、公約通りISAF (北大西洋同盟平和維持軍)平和維持兵の数を増やし、アフガニスタン国中における平和維持を保証すべきである。

安全と民主主義なくしてはアフガニスタンはテロリストの餌食となる。ブッシュ政権よ、口先だけでなく実行に移せ。アフガニスタンの民主主義復興に女性の人権完全保証を含む事こそ、対テロ戦争において一番大事なことなのである。

2002年の段階で、積極的にアフガニスタンの平和維持に取り組んでいたブッシュ政権に増兵を促し、まだまだ平和維持への努力が足りないと抗議していたNOWは、2009年10月現在、戦況が悪化し現場の将軍が増兵を嘆願しているなか、ブッシュ政権にしたようにアフガニスタンへの増兵をオバマ政権に訴えているかといえば、、そんなことは全くない。

今年になって唯一つ8月24日付けのアフガン関連の記事では、悪化するアフガン状況を背景にしながらも、タリバン台頭を憂うのではなく、その批判の対象は現アフガン政権のカルザイ大統領に向けられている。

そして、先日オバマ大統領が示した、タリバンによる政権参加も止む負えないという姿勢に対して、女性の敵タリバンに妥協するなどもってのほかと、NOWがオバマ政権に断固たる抗議したかといえば、、、そんなことは全くない。NOWによるオバマ関連の記事はオバマ崇拝記事だけだ。

無論、ここで読者の方々は、なにもNOWだけがアメリカのフェミニストではあるまい。アフガニスタン戦争を支持している女性団体はあるはずで、彼女達の意見も聞くべきなのではないかとおっしゃるかもしれない。

そこで、色々検索していたら、Feminist Majority Foundationという女性団体の会長が、アフガニスタンを見捨ててはならないというエッセイを書いているのを発見した。

アフガニスタンはひどい状況である。そのことに異論はない。単純に立ち去るべきだと感じる人もいる。だが我々はそのような立場は支持できない。なぜならば、それによる女性や少女達の払う代償は計り知れないだけでなく、アフガニスタンの失態によるアメリカの責任は重大過ぎるからである。

今ここで米軍がアフガニスタンから撤退すれば、アメリカは再びアフガニスタンの人々にかわした約束を破ることになり、この国は再びタリバンの手に落ちることになるだろう。

断っておくが、このFMFという団体はブッシュ政権によるアフガニスタン空襲やイラク戦争には反対していた。アフガニスタン国内での空襲はアフガン市民を危険にさらすという理由で、イラク戦争に関しては、アフガニスタンをおざなりにしているという理由だった。

実際にはブッシュ政権はイラク戦争が始まってもアフガニスタン駐留軍の数を減らした事はなく、ブッシュ政権中の8年間、米軍がタリバン及びアルカエダへの攻撃の手を緩めたことはない。このブログでも何度も紹介したが、アメリカが指揮を取るNATO軍によってタリバンやアルカエダの総攻撃は何度も失敗し敵側は大打撃を受けていた。主流メディアが忘れて報道しなかったからといって、ブッシュ政権がアフガン情勢を無視していたという考えは間違いである。

ブッシュ政権時代に安定していたアフガニスタン状況がオバマ政権になって急激に悪化したのがその証拠だ。実際に戦っている戦争から目を離すとどういうことになるか、オバマ政権の失態がよく物語っている。

ま、それはともかくだ、本当にアフガニスタンの女性達の人権を慮るのであれば、フェミニストたちはアメリカによるアフガニスタン撤退を支持できるはずはない。私はFMFの考え方には色々と疑問を感じはするが、少なくとも女性人権保護という立場において一貫した姿勢を持っているという点において、NOWのような偽善団体とは大きな違いがあると評価できる。

本当のフェミニストならオバマ政権の優柔不断を批判しアメリカ軍のアフガン増兵を支持すべきである。アメリカ国内においてそうしたフェミニストの声がまだまだ聞かれないのは、残念な限りである。

October 10, 2009, 現時間 11:34 AM

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