June 24, 2009

自由の「声」を黙らせるな!

日本でも多分もう話題になっていると思うが、数日前、イランで起きている抵抗運動を傍観していた16歳の少女が、アクマディネジャド直属の強硬派民兵に無惨にも射殺されるという事件が起きた。

イラン大統領選での不正に対する抗議行動が続く中、16歳の少女が強硬派の民兵に銃撃され死亡したとされる映像が、動画投稿サイト「ユーチューブ」などで公開され、米CNNテレビもこの映像をトップ級ニュースで報じた。

女性は、ネダ・アグハ・ソリタニさん(16)とみられ、テヘランでデモを見ていた際に、バシジ(強硬派の民兵組織)に胸部を撃たれ死亡したという。

画像は、動画投稿サイト「ユーチューブ」の映像のシーンで、ジーンズと白いスニーカーを履いた少女が路上に仰向けに倒れ、2人の男性が胸部を押さえるなどして介抱している。しかし、少女は目を大きく見開いたまま動かず、口から流れ出る血の様子まで映っていた。

この少女の瀕死の状態が撮影され、その画像がネットを通じて世界中に放映されたが、この少女の名前「ネダ」とは皮肉にもペルシャ語で「声」という意味。この汚れなき乙女の死は本当の意味での殉教者として「自由の声を黙らせるな」とばかりに抵抗側の士気を奮い立たせた。

海外でもアメリカを含め世界中で少女の無惨な死に際が同情を集めているが、そのことで焦ったのがイランの体制側。このままネダのイメージが自由の象徴として担ぎだされるのは好ましくないとして、強攻な復讐にかかった。

イギリスの新聞ガーディアン紙によれば、イランの体制派ムラー達はネダの遺体を家族に譲り渡すどころか、勝手に無名墓地に葬ってしまい、家族による葬儀を禁じた。それだけでなく、まるで少女が射殺されたのが家族のせいでもあるかのように、テヘランにある住居から立ち退かせたという。

近所の人の話によると、政府は聖廟などでネダの弔いをすることも完全に禁じたという。ペルシャの伝統も日本のそれと似ているようで、ソルタン家では葬儀の案内を発表し黒い帯を自宅のビルに掲げたという。しかし警察が着てその帯をむしり取り、家族に即刻立ち退きを命じた。

イラン政府が残酷非道であることは今更言わなくてもはっきりしていることだが、このように犠牲となった少女の家族に非情な仕打ちをすることの愚かさがムラーたちに理解できないというのが不思議だ。独裁政権を長くやりすぎて人の心情というものが全く理解できなくなっている証拠だろう。

もともとイランのような国で更正な選挙など行われるはずはない。そんなことは誰でも承知だった。しかし、すくなくとも公平に行われた振りくらいすればよかったのに、アクマディネジャド側は票も数えずに投票のすんだ二時間後にはアクマディネジャドの大勝利を発表してしまった。実際に票を数えたら本当にアクマディネジャドが勝った可能性は高い。別に相手側のムサビ元首がそれほど人気があったというわけではないのだから。国民が怒ったのは、政府側の国民の意志を完全にないがしろにした高𨯁車な態度だった。選挙など最初から茶番劇だったということをあからさまにひけらかせ、それを何とも思わない政府の傲慢な態度が国民を激怒させたのである。

選挙後二週間も続いている抵抗への対応が、暴力とさらなる弾圧。そして無実な傍観者を故意に射殺し、その家族までも虐待する。そんな行為は抵抗を鎮圧するどころか、かえってかき立てることになるのだということにイラン政府は気がつかない。

そのあまりのひどさに、無関心だったオバマ王ですらイラン政府側に厳しい口調をとらねばならなくなった。(これはジョン・マケイン上院議員が議会の席でネダの話を取り上げ、オバマ王の無関心を批判するという場面もあったり、他からもオバマ王がイラン政府を強く糾弾しないことへの批判が高まって来たからだだが。)

残念ながらイランで起きているのは革命というにはまだほど遠い。今はまだ単なる暴動程度のものだ。だが、イラン政府の対応をみていると、これが内乱にまで発展する可能性は大いにある。もし政府側が本当に暴動を沈めたいなら国民の神経を逆撫でするようなことは今すぐ止めるべきだろう。だが、独裁者にそんな心の余裕はない。

我々に出来る事は、自由を愛するイラン市民を声高に応援することだ。ネダの死を無駄にしてはならない。イランの自由の「声」を黙らせてはならないのだ!

June 24, 2009, 現時間 11:17 PM

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