April 12, 2008

聖火防衛隊が暴露した中国の野蛮ぶり

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オリンピックの聖火はサンフランシスコに来たと思ったら訳の分からないうちにまたまたさっさと立ち去ってしまった。

サンフランシスコではパリやロンドンでの二の舞いを防ぐため、予定の走路を途中で変更したりしてデモや見物に現れた一般の観客のいる道路を避けて通り、なんとか暴力的な衝突は避けられたようだ。ニューヨークタイムスによると、市では武装した警備隊があらかじめ予定された走路の脇でものものしい警備体制をとりはじめ、あたかもそこへ聖火ランナーが走ってくるかのようにみえたに。ところがランナーは土壇場で走路を変更して見物に来ていた人たちのいる道路を迂回して別の道をとり見物客たちを失望させたとある。以下はロイターの日本語記事より。

リレーは当初、午後1時から、サンフランシスコ湾沿いの約10キロのルートを走ると発表されていた。しかし、実際には出発地点となった海沿いの倉庫地帯で聖火を手にした走者は、道路に現れずにそのまま倉庫の中に姿をくらませた。

 その後、倉庫からは複数の車両に加え、水上スキーに警護された船舶までが出発したため、いったい聖火はどこに行くのか、待ち受けていた群衆や報道陣は騒然となった。...

沿道からは「市は臆病だ」などと批判が挙がったが、同市のニューソム市長は「負傷者が出ないことが最優先だった。その意味では、今回の聖火リレーは成功だった」と強気のコメントに終始した。

ニューヨークタイムスの記事ではニューソム市長が「イベントをキャンセルするか、聖火ランナーの身の安全を確保するか」という選択に迫られたために取った判断で、「簡単な決断だった」という発言が載っている。

しかし聖火リレーの目的はオリンピックを前にして世界各国が政治を乗り越えてスポーツ競技をお祝いしようという意志表明のはずだ。それを観客が待っている道をはずしてこそこそと走ってそそくさ飛行機に乗せてしまうのであれば、聖火リレーなどやる意味がないではないか。だったら税金無駄使いして大掛かりな警備体制のおとりまで使ってやらなくても、単純にキャンセルしてしまえばよかったのだ。ばかばかしい。

しかし面白いのは、世界各国ではすでに話題になっている中国の聖火防衛隊の話がニューヨークタイムスの記事には全く述べられていないことだ。どうもNYTは聖火防衛隊が各国で起こしている問題について何も知らないらしい。

ロンドンタイムスによれば、この防衛隊は中国から送られてきた特別戦闘部隊で、聖火をまもるべく世界中を聖火と共に旅しているという。彼等の乱暴ぶりはパリやロンドンではかなり問題になった。

その乱暴なやり方が国際的な非難を浴びている青い炎模様の運動着に身を固めた中国のオリンピック聖火防衛隊は中国陸軍に付属する特別警察機動隊のメンバー達である。

30人の若者からなるこの隊はエリート機動隊員を生み出す警察学校出身で、彼等の仕事は本国で暴動鎮圧、国内安全保証、外交官らの身の安全を守ることである。



Paramilitaries in San Francisco    Paramilitaries In Europe

中国特別聖歌防衛隊、左がサンフランシスコ、右がロンドン

問題なのは欧米のお手柔らかな警察などと違って、この中国の防衛隊はまるで戦闘でもしているような行動を取っていることだ。 デモをおこなっている人たちの言論の自由尊重だの意見の違う人々への寛容性などかけらも持ち合わせていない彼等は、抗議者であろうとただの観客であろうと聖火の邪魔になりそうな人たちを暴力でおしのけた。あたかも彼等はすでに聖火が北京にいるかのような振る舞いだ。しかし外国でこういう行動をとるようじゃ本土の中国では警備隊はいったいどういう振る舞いをするのか先が思いやられる。下記はこの防衛隊の暴虐ぶりについて諸外国での反応だ。AFPの日本語記事より。

聖火リレーの走者を務めた柔道の元世界王者ダビッド・ドゥイエ(David Douillet)氏はラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)に対し、中国側の警護隊を「ロボット」「攻撃犬」と呼んで非難、「かれらは押したり、中国語で文句を言ったり侮辱したりする」と語った。

 英メディアは、2012年に開催されるロンドン五輪の組織委員会のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長が、中国側の警護隊を「チンピラ」と述べたと報じた。

 コー氏は、パリに先立ち6日に行われたロンドン(London)での聖火リレーについて、中国側の警護隊が「わたしを3回もルートから押し出そうとした」と明かし、仏の聖火リレー主催者は「警護隊を排除するべきだ」、「かれらはひどい。英語を話さなかったし、かれらはチンピラじゃないか」と訴えた。

 また、同じく走者を務めた英女性タレントのコニー・ハク(Konnie Huq)さんは、タイムズ(The Times)紙に対し、中国側の警護隊と英警官隊の間で「小競り合い」があったことを明らかにし、「かれらはまるでロボットのようで、『走れ』とか『止まれ』とか怒鳴って命令した。私は『かれらは一体誰なの』と思ったわ」と語った。

それにしても、自然な疑問として、いったいこんなチンピラに聖火の警備をさせるという許可を出したのは誰なのだろうか?フランスにしろイギリスにしろ政府の許可なくして彼等が勝手な行動をとれるはずはないからだ。

デイビッド・デイビス影の内相(David Davis, the Shadow Home Secretary)は昨日ジャック・スミス内相に当てた手紙で中国委員の役割について明確な説明を求めた。「イギリス政府の誰が彼等の存在を許可したのか、彼等の身元についてどのような調査がおこなわれたのか」と質問した。

先のAFPの記事によると、五輪の規約では聖火を守るのは開催国の責任となっているとある。ということは開催国が防衛隊を派遣するのも五輪規約の違反にはならないということだろうか。

ロンドンタイムスの記事によると30人の防衛隊は一年くらい前に中国警察学校で訓練を受けていた卒業生で、何万という彼等の同級生たちはチベットに送られチベット人弾圧、、おっとチベット暴動の鎮圧にあたっているという。

上記の写真でもわかるように、防衛隊はサンフランシスコでも走者の周りを取り囲んでいたが、走路変更のため特に一般市民との衝突がなかったため、その存在はアメリカでは大きく取りざたされていない。しかし聖火を待っているオーストラリアでは首相のケビン・ラッド氏が、防衛隊が走者と一緒に走るのは許可しないと息巻いている。

中国政府は、北京オリンピックの聖火リレーが通過する国々に対して抗議行動から聖火を守るために、聖火リレーのランナーといっしょに走る「聖火防衛隊」の派遣を受け入れるよう求めています。これについて、オーストラリアのラッド首相は10日、訪問先の北京で記者会見し、首都キャンベラで24日に予定されている聖火リレーに触れ、「オーストラリアに来る聖火を守るため、あらゆる安全措置はオーストラリアの当局によって提供される」と述べ、聖火防衛隊の派遣は必要ないという考えを強調しました。さらに「彼らがもし北京オリンピック組織委員会の一員として来るなら、わたしの理解ではバスに乗って行動するだろう」と述べました。

聖火は今南米にあるが、すぐに日本の長野にくる予定だが、オーストラリア同様長野でも防衛隊の伴走は拒否する姿勢をみせている。

英仏米など北京五輪の聖火リレー「国際ルート」で、青色ジャージー姿の中国“聖火防衛隊”が伴走していることについて、泉信也国家公安委員長(70)は11日、閣議後会見で「警備は日本の警察がちゃんとさせていただくという大原則は崩すべきではない」と述べ、長野市で26日に予定されている聖火リレーでは受け入れを拒否する考えを示した。

 泉委員長は「ほかの国でも走ったから日本でも、という考え方は私自身としては歓迎しない」と語り、防衛隊によるリレー妨害活動への「警備」は「日本の主権の侵害にあたる」と指摘。「(警備は)長野県警を中心とするわれわれの役目」と強調した。

もちろん長野市はチベット問題に抗議するデモの人々も受け入れる気は毛頭ない

欧州各国で北京五輪の聖火リレーへの妨害が相次いだことを受け、警察庁は、長野市で今月26日に行われるリレーの警備態勢を増強することを決めた。

 過激な活動家の入国を制限するため、過去に逮捕歴がある人物の入国を認めない入管難民法の「フーリガン条項」の適用も検討する。中国側は聖火ランナーに並走する“聖火警備隊”2人の長野派遣も打診してきているが、同庁は日本の主権侵害にあたるとして警備には直接関与しないよう要請する。

 警察庁は、長野での聖火リレーについて長野県警約500人と、民間の警備員ら約1000人で沿道を警備する方針だった。しかし海外の活動家のほか、右翼の街宣や人権団体の集会も予想されることから、管区機動隊など応援部隊を派遣し、ランナーに機動隊員を伴走させるなどの厳重な警備を敷く検討を始めた。

 特に欧州の過激な活動家については、2002年5〜6月のサッカーワールドカップの際に新設された入管難民法のフーリガン条項の適用も視野に入国審査を厳格化する方向で入管当局と調整している。

オリンピック聖火は政治の違いを乗り越えて世界の人々が協力して個人のスポーツの才能を祝おうという象徴として大事な意味がある。その象徴を守るために中共が軍事的なチンピラを使うというのはなんとも滑稽だ。ここに中国の野蛮な本質が露呈したといえる。中国にとってオリンピックを開催するということは、文明国家として国際社会の一員として大人になった国だということを世界に表明するという大事な意味があった。だが中国は文明国家であることを証明するどころか、オリンピック開催に備える中国の数々の暴虐はかえって自分らがどれだけ未熟で未開で野蛮であるかを証明することになってしまった。天南門の虐殺こそが中国の本性なのだと全世界に知らしめる結果となってしまったのだ。

国際社会は遅蒔きながら中国の野蛮性に気が付きはじめている。それにしてもオリンピック委員会はなんだってこんな国を開催国に選んだのだ?候補都市にはトロント、パリ、イスタンブールなどいくらでもオリンピックにふさわしい都市があったではないか。それをいうなら1970年に万国博覧会を開いた大阪という選択もあったのだ。

中国のような野蛮な共産主義国にオリンピックを開催させようなどという決断をくだした時から、こうなるのは分かっていたはずだ。今さらゲームをボイコットすることはできないが、せめて各国の首相たちが開会式のボイコットくらいはしてくれることを望む。

April 12, 2008, 現時間 1:02 PM

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下記投稿者名: oldman

チベット暴動についは「中国が裏で糸を引いてチベット僧を扇動し決起させた」というのが私の推論です。

目的は、インフレなどで高まる一般大衆の不満が政権に向けられれば体制が崩壊しかねない。それを防ぐためにチベットを力で蹂躙することでナショナリズムを高揚させ、不満の矛先をそらすこと。

目的は達成したようです。
西側諸国からの人権批判という副作用は覚悟の上で、乗り切れるという計算があったのでしょう。そのための世論誘導工作を各国で盛大にやっているというわけです。

バン事務総長は終始無言で、国連の無力さが際だつ1ヶ月でした。事前に言い含められていたのでしょうか。

上記投稿者名: oldman Author Profile Page 日付 April 13, 2008 3:43 AM

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