February 15, 2008

ヒラリー対オバマ、代議員数をめぐって壮絶な戦い

この間もちょっとお話したように、アメリカの大統領選挙は国民の直接投票で決まるのではなく、国民が選んだ候補者の代議員によって最終的な投票がされる。これは予備選挙やコーカスでも全く同じで、投票者によって決められるのは、どの地区の代議員がどの候補者に投票するかということなのである。だから実際にヒラリーに投票した市民のほうが多くても、オバマの方が多くの地域を勝ち取った場合、現在起きているように、オバマのほうが代議員の数が多くなるという不思議な現象がおきるわけだ。

となると、ヒラリーは民主党候補の正式な指名が決まる党大会までに、何とか多くに代議員を獲得する必要がある。しかしヒラリーの選挙運動は急降下を続けており、このままでは大幅にオバマを引き離すなど無理である。しかしヒラリーがここであきらめるはずがない。どんな汚い手を使ってでも党大会までに代議員の数を増やそうとするに違いない。

ではいったいヒラリーはどうするのだろうか。これまでにヒラリーのやり方から考えて、訴訟という手を使う可能性が非常に高い。ウォールストリートジャーナルで、セオドア・B・オルソンが面白いことを書いている。

事実、すでにクリントン上院議員は民主党の規則に反して一月に予備選挙を行い代議員を失格にされたミシガン州とフロリダ州の代議員に党大会への出場権を与えるように要求しているという。候補者たちはこれらの州で選挙運動はしないと同意していた。にも拘らずクリントン議員だけはミシガンの予備選挙投票書から名前を取り下げず予備選挙の勝利の日にフロリダ州訪問という演出をはかった。そしてどちらの州でも挑戦者なく大勝利を遂げたのである。彼女の選挙事務所は党の規則に反して彼女が勝ったこれらの州での代議員の出席を認めよというのである。彼女自身がこれらの州で選挙運動をしないという前約束をやぶっておきながらである。もちろん「すべての票を数えろ」というわけだ。

ゲームの途中でルールを変えて卑怯な真似をするのは民主党の専売特許だが、それが一番得意なのは何と言ってもクリントン夫婦。こうなったらヒラリーの次の手段はフロリダで民主党委員会相手に訴訟を起こし、フロリダの代議員が失格になったのは憲法違反だとか人権迫害だとかなんとかいちゃもんをつけることになるだろう。フロリダといえば、2000年にあの悪名高い大統領選挙の訴訟が起きた州である。この訴訟でヒラリーのいい分が多少なりとも聞き入れられれば、ヒラリーとオバマの代議員数のバランスが崩れる可能性は高い。

そうなった場合想像できるのは、何百という民主党の弁護士が集まってきて票をもう一度数え直せと主張するだろう。フロリダの予備選をやり直せなどという声もあがるだろう。2000年の大統領選の結果ではフロリダ最高裁判所を大批判した同じ人々が、今度は裁判所の判決を重んじるべきだと大騒ぎをし、反対側は突然連邦政府の大事さを唱えはじめるに違いない。そしてこの訴訟は連邦最高裁判所にまで持ち込まれるかもしれないのだ。

そんな風にして、もしもヒラリー・クリントンが勝ったとしたら、オバマの支持者たちが黙っているはずがない。マケイン候補の元に共和党がまとまらないなどという生易しいものとは比べようがないほど民主党はまっぷたつに割れてしまうだろう。

民主党のことを考えたら、ヒラリーはそんなことをせず、正々堂々と戦ってオバマに負けたら負けたで潔くあきらめるべきだ。しかしヒラリー・クリントンは自分のことより他人のことを考えるなんてことは今までしたことがない人だ。これから先もするはずはない。

February 15, 2008, 現時間 12:48 AM

エントリーが気に入ったらクリックしてください。
にほんブログ村 政治ブログへ

トラックバック

この記事のトラックバックURL: http://biglizards.net/mt4.21/agakhantrack.cgi/2811

コメント

前のコメント

登録ありがとうございます。 さん コメントを残して下さい。 (サインアウト)

このサイトへ初めて投稿される場合には、サイト主による承認が済むまで投稿が画面に現れないことがあります。しばらくお待ちください。


登録者を記憶する(URL必要)


© 2006-2015 by 苺畑カカシ - All Rights Reserved