January 29, 2008

人権擁護法と男女共同参画に共通する政府介入と人権侵害

私はずっと人権擁護法とジェンダーフリーについて別々に書いてきたが、人権擁護法と男女共同参画にはその根底に共通する概念が存在する。それは政府による団体主義の強制であり、個人の人権迫害である。

無論人種差別や男女差別の廃止は奨励されるべきことだ。しかしそうしたことは個人レベルで個々が判断して変えたければ変えていけばいいのであり、政府が介入すべきことではない。これらの法律が人権迫害につながるのは、個人のし好や思想に関することを国がいちいち干渉してくるからである。私が以前に人種差別をなくす法律は存在しないでも書いたように、嫌いなもの同士を無理矢理法律で一緒に仕事や勉学をさせてもかえって反感を買うだけで差別排除にはかえって逆効果なのだ。

また擁護法のように一部の人間を政府が特別扱いするということは、必然的に他のグループの人間を組織的に差別するという結果を生むのである。これは人種差別や性差別をなくす目的で作られたアメリカのアファーマティブアクションが政府が奨励する人種や性差別へと変化してしまったことがいい例だ。これについてもう一度私の過去ログから引用する。

アファーマティブアクションの当初の目的は、雇用や大学などの入学審査のときに、人種や性別によって差別されないよう少数民族や女性の人権を守ることだった。...

ところが人種・男女差別をしてはいけない、という法律がいつの間にか少数民族や女性を特別扱いする法律へと変貌してしまった。...

大学入試を例にして説明すると、大学入学の際、少数民族だからといって入学を拒否されないように、新入生の人種の枠をつける方針が多くの大学で取り入れられた。 この枠組みはアメリカ社会の人口比率が参考にされており...ここでは便宜上黒人20%、ラテン系10%、東洋系10%、白人60%としておこう。 ここで問題なのは大学志願者の比率が社会の人口比率とは一致しない点である。...黒人やラテン系の若者が大学へ進む比率は東洋人や白人のそれよりもずっと低い。... 

たとえば単純計算である大学の100人の枠のなかで、黒人志願者が20人、東洋人志願者が100人だったとする。同じ大学へ志願したにもかかわらず黒人の志願者は全員入学できるが、東洋人の合格倍率はなんと10倍。

今やアメリカの大学では女子生徒のほうが男子生徒を上回っているにも関わらず、いまだに女子を優先する大学が後を絶たない。しかし男女平等を主張する左翼フェミニストたちがこの女性上位の状況に文句をいう気配は全く見られない。いまや女子優遇男子冷遇法となったアファーマティブアクションを廃止すべきだという左翼フェミニストなど存在しない。

左翼フェミニストといえば、以前に左翼フェミニストと議論を交わしていたブロガーさんで、ここでも何度か紹介したBruckner05さんは男女平等を政府が政策として起用した場合、単に男女差別はやめましょうというような啓発だけでは済まない、「公的広報のガイドライン、啓発パンフレット、意識調査、学校教育(教科書、副読本)、行政の講座等々」を使って国民意識が操作がされると書いている。強調はカカシ。

行政は法律に基づいて施策を行い、男女共同参画社会基本法は「ジェンダーフリー思想に基づく男女共同参画」を「国民の責務」としているのである。そしてその実現を確かなものとするため国内本部機構を設け、監視の役割まで持たせている。....

呼び掛けはやりました。あとは国民の皆さんの自由選択ですよ、では終わらない。意識啓発は、その自由選択が政府が望む方向に確実に変化し、その変化が広く深いものとなるように、と意図して行われているのだ。...

...施策の効果を上げようとすればするほど、介入の度合いは激しくなる。

差別意識を減らすなどという国内政策はそのうち、その成果を国民の意識調査で判断するなどという柔なことだけでは済まなくなる。政府介入は必ずエスカレートする。Bruckner05さんが紹介している家庭内暴力に関するDV防止法などもその典型だろう。括弧内はカカシの注釈。(ちなみにDV防止法は先日改正(改悪?)されたそうだ。)

自由な社会には“機会の平等”こそふさわしいのに、男女共同参画は“結果の平等”を目指す。その実現には上からの強権発動が欠かせないから、これはまぎれもない全体主義だ。「性差より個人差」「性別にとらわれない社会」と言いながら、他方、徹底して「女」にこだわるダブルスタンダード。数値目標によって女性の参画比率を恣意的に引き上げ、DVは事実上、女性のみを保護対象にし、女性限定で起業支援、健康支援をするなど露骨な逆差別。

人種差別も男女差別もこれは個人の意識の問題である。国がすべきなのは差別につながる法律を排除することであって、法律による意識介入ではない。一部の少数派を擁護するという建前で一部を優遇し他を冷遇するのであれば、まさにそれは政府が奨励する組織的差別に他ならないのだ。

January 29, 2008, 現時間 12:25 PM

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下記投稿者名: Inetgate

はじめまして。
産経の古森さんのブログでここの存在を知り、RSSリーダーに登録して読んでいました。

そういえば、同じようなことを社会全体でやって壮大に失敗したのがソ連を初めとする旧社会主義諸国でしたね。
彼らの主張では平等な社会が実現するはずが、党員という特権階級を生み出しただけで、一般の人々は幸福にはなれなかった。

人権擁護法案も男女共同参画も同じ構図を再現しようとしている風にしか見えません。

上記投稿者名: Inetgate Author Profile Page 日付 January 29, 2008 8:42 PM

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