October 14, 2007

いざアラスカ、豪華客船の旅 その5

シャンペンとキャビアー

船内では夜遅く、翌日のイベントの予定表が配られる。毎日歌や踊りのショーや、手品師やコメディアンのショーなどが劇場で行われるほか、数あるバーのうちひとつではスペインコーヒーが出されるとか、ピアノバーではコールポーターの歌が特集されるとか、いったことも紹介されている。

その中で私が目を留めたのはオーシャンバーでシャンペンとキャビアが無料で出されるという記事である。その夜はロシアの夜と称して、フィリピン人のウエイターが皆ロシアの民族衣装を着て様々なロシア風マティーニ(有料)を用意するとあった。私はすし屋で食べられるいくらとびこまさごといったキャビアならいくらでも食べたことはあるが、ここでいうキャビアとは一オンスで何百ドルというブルーガキャビアのことである。こんな高級品は今までに食べたことがないので、是非是非この無料サービスは見逃すまいと早々にバーに乗り込んだ。

ところが、確かにウエイターはロシア服を着てマティーニの注文を受けてはいたが、どこを見回しても無料シャンペンは出ていないし、オードブルのお盆を片手に回っているウエイターの姿は見当たらない。最初から「無料シャンペンはどうした、キャビアはどうした」と聞くのも下品かなと思い、一応変わったマティーニを二杯オーダーして、カクテルカードに穴を二つ開けてもらった。

しかし待てど暮らせどシャンペンも出てこなければキャビアーも出てこない。痺れを切らした我々二人は、ついにプライドを捨てて「キャビアはどこじゃ!」とウエイターを問い詰めると、ウエイターはそんな話は聞いていないという。それでその日の日程表を見せると、ウエイターは奥へ引っ込み誰かと話をしている模様。やっと出てきたヘッドウエイターらしき人物が「連絡不行き届きでオードブルの用意ができていなかった」と釈明。「すぐに用意させますので」。

しかし20分くらいして出てきたオードブルはキャビアではなくて春巻きと揚げワンタン。「申し訳ありません。キャビアが品切れでして、、、」ここでミスター苺は皮肉たっぷりに「出してもいないのにどうすれば品切れになるんだね?」と質問。 困った顔のウエイターが突き出したワンタンを一口食べた私は、その味の不思議さに首をひねった。「これ豚肉じゃないよ。なんか牛肉のソーセージみたい。」と言うと、ミスター苺も味見をしてみた。「これはソーセージじゃない!ホットドッグだよ!」

無料のシャンペンが有料のマティーニに化けたくらいはしょうがないとしても、キャビアがソーセージ入りの揚げワンタンではいくらなんでもこれはひどい。それで我々はフロントに苦情を言いに行った。船内のアンケート調査でもミスター苺は延々とキャビアーがホットドックに化けたことを書き連ねていた。

その二日後、明日はシアトルに帰港するという夜遅く、甲板で散歩を済ませたカカシが部屋に戻ってくると、ミスター苺がニコニコ顔で「ちょうど良かった。もう何処へも行くな。今いいものが届くよ」と言う。何かと思えば、先日のロシアの夜の不都合へのお詫びとしてシャンペンとキャビアがルームサービスで届けられるというのである。しばらしくして届いたトレーを見てびっくり仰天。大型のお盆の上にきれいに飾ったいくつものキーシや一口大のタルトの上にキャビアがどっさり乗せられていたからである。これはどうみても4~5人で食べるオードブルだ。これに冷え切ったシャンペンが一本ついてきたのだから凄い。私は無料のシャンペンを一杯ぐらい飲みながら、キャビアの乗ったクラッカーをニ~三枚食べられればそれでいいと思っていたのに、こんなのとても二人では食べきれない。

それで私はタルトの上に乗っていたキャビアだけを、猫のようにぺろぺろと舐めて食べてしまった。そうかこれがキャビアというものなのか、ちょっとぱさぱさだな、塩辛いかな、などとうなずきながら。ミスター苺はお盆の上に何オンスのキャビアが盛られているのか、これは市場でいくらぐらいするかとか下世話なことを計算し始めた。これだから貧乏性はしょうがない。せっかくの豪華客船の旅なのだ、せせこましいことは忘れて楽しもう。

しかし文句は言ってみるものだな。

October 14, 2007, 現時間 5:19 AM

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