June 14, 2007

高まるイギリスの反ユダヤ思想

私の好きなイギリスのネオコンコメンテーター、メラニー・フィリップス女史が数回にわけてイギリスで高まっている反ユダヤ人思想について語っている。題して対ユダヤ人戦争(The war against the Jews)。

フィリップス女史によると、Bournemouth で先日行われたUniversity and College Unionというイギリスの大学と短大の学識者が設立した集会で、代表者たちは158対99でイスラエルの教育部門を国際社会の学問の世界からボイコットしようということで意見が一致した。彼等のいい分はイスラエルが昔の南アフリカのようなアパルタイト国家であるというものだ。

この集会を行ったUCUというグループはイギリスでもかなり左翼よりの学識者の団体のようだが、彼等の反イスラエル見解はアラブ社会が周到に広めている歴史の書き換えやパレスチナが一方的な犠牲者であるというプロパガンダを鵜呑みにしたものであり、調べればすぐに分かるような明らかな嘘をそのまま繰り返しているという。

アパルタイトとの比較など無論根拠のない醜悪な嘘である。そして実際にアパルタイトを体験したアフリカ人への侮辱でもある。このような比較はアパルタイト否定論とさえ取れる。しかし真実は反イスラエル派にとって意味のないものだ。彼等にとってはパレスチナの悲惨な運命はイスラエルのせいであり、イスラエルこそが攻撃者であり、パレスチナが犠牲者なのだ。真実はパレスチナこそが攻撃者でありイスラエルこそがテロ攻撃や自爆テロそして1400ものロケット弾を打ち込まれている被害者であるにも関わらずだ。イスラエルはパレスチナ独立を阻止しているかのように責められているが、実際には1937年、1948年、1967年、そして2000年と数度に渡ってパレスチナ独立に合意してきた、それをその度に拒絶して、イスラエル崩壊を唱えているのはパレスチナの方なのである。

イスラエルはアパルタイト国家だの民族浄化だの大量殺害だのと責められている。しかしイスラエルではアラブ人の学生がイスラエルの大学で学び、国会に議席をもち裁判所にも出席できる。そしてイスラエルの病院が一日たりともガザ内部紛争で負傷したパレスチナの子供たちを治療しない日はない。イスラエル市民の大量殺害を唱えているのはイランであり、独立したパレスチナ領ではユダヤ人の居住は許されないという民族浄化を唱えているのはパレスチナの方なのだ。(ボイコットを薦めている学会では新しく設立されるべきパレスチナ領にユダヤ人の居住区は全く認めていない。)

しかしUCUのメンバーたちはこのダブルスタンダードがアンティセメティズムと呼ばれるユダヤ民族差別ではないと主張している。「私は反シオニズムであり反ユダヤではない」とか、「イスラエルを批判しているのであってユダヤ人を差別しているのではない」といういい方はもう何十年も前から人種差別主義者の間で使われてきた建前上のごまかしに過ぎない。彼等のいってることをちょっと掘り下げればそこには根深い反ユダヤ民族への差別意識が必ず見つかる。もし民族浄化や大量殺害が悪行だから批判されなければならないというのであれば、なぜイスラム教徒がアフリカのダルフールで行っている民族浄化および大量虐殺が話題にされないのだ? なぜ派閥が違うというだけで殺しあいをしているパレスチナの武装勢力は罰せられないのだ? 毎日のようにイスラエルに打ち込まれるロケット弾はなぜ批判されないのだ? イスラエルのやっていることと比べたらこっちのほうが数百倍も悪いではないか。イスラエルをボイコットする暇があったら世界中で起きている悪行からまず取り組むべきだ。それをせずにイスラエルのあら探しをしてはイスラエルだけを罰するのはアンティセメティズム以外の何ものでもない。

イギリスでは数日中に「もうたくさん!」というスローガンで反イスラエル集会が行われる。しかしこの集会でハマスとファタ同士の殺しあいを「もうたくさん!」と批判する計画は提案されていない。

June 14, 2007, 現時間 11:59 AM

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