May 19, 2007

米大統領選挙民主共和各党でテレビ討論会、民主党の巻

2008年の大統領選挙までまだ一年半もあるというのに、すでに民主党と共和党はそれぞれ何度かテレビ討論会を行っている。今はまだ各党の予選も始まっていないしすべての候補者が立候補しているというわけでもないので、まだこの先どうなるのかまだまだなんともいえない状態だ。

さて、ちょっと前に行われた民主党の討論会の模様は暗いニュースが特集しているので、こちらをちょっと拝見しよう。私はこういうふうに複数の候補者がそれぞれの質問に数分の時間制限で答える形の討論会は好まない。それで自分ではテレビ放映も全くみていない。よって下記はすべて他人の受け売りなのであしからず。

司会者: 「クリントン議員、民主党上院院内総務ハリー・リード氏の最近の発言によれば、イラク戦争は敗北したとのことでした。本日のUSAトゥデイ紙に掲載された投書には、リード氏の発言が“背信行為”であり、もしもパットン将軍が生きていたなら、リード氏を使ってブーツを拭うだろうと書かれています。あなたは上院院内総務の主張に賛成しますか?」

ヒラリー・クリントン:
「ブライアン、まず最初に、アメリカ国民の主張について言わせてください。議会はすでに戦争終結に向けて表決しています。今はただ大統領が耳を貸すことを望むだけです。・・・(中略)・・・これはアメリカが勝ったり負けたりという戦争ではないのです。我が国はイラク国民に自由と統治の機会を与えました。その機会を活用するかどうか決定するのはイラク国民次第なのです。」

暗いニュースはリベラルなブログなので、ヒラリーが当初はイラク戦争に賛成したという事実も許せないだろうし、今になっても「イラク国民に自由と統治の機会を与え」たという言い方はブッシュ政権の報道官さながらだと批判している。私に言わせればヒラリーは単なる日和見主義。戦争の前は国民の戦争支持も高かったのでそれに賛成しただけの話。不人気になったイラク戦争をいつまでも支持していると左翼過激派のムーブオンらに突き上げられるのでどうやってイラク撤退を正当化するかで悩んでいるというのが事実。それにあんまり過激派左翼のいいなりになると一般選挙で無所属の票を取りそこなう。左翼に迎合して民主党候補になっても、過激派左翼と思われたら一般選挙で勝てない。これが民主党候補のジレンマだ。

司会者:
「オバマ議員、あなたはこのイラク戦争を評して、“愚か”と発言しています。その姿勢で、この戦争に身を捧げた人々に対してどのように向き合いますか?そもそもなぜあなたは過去において戦争予算に賛成してきたのですか?

バラク・オバマ:
「ブライアン、私は開戦時からこの戦争に反対してきた自分を誇りに思っていますよ。イラクの地で現在見られるような惨憺たる状況になると思ってましたからね。それに、戦地にこの国の若者を数十万人も派遣するのなら、彼らの安全のために暗視スコープや補強済みハンビーや他の装備が必要になることも私はずっと主張してきました。しかしアメリカ国民が主張しているのは、共和党であれ民主党であれ、もう戦争を終わらせる時期だということなのです。・・・(以下略)」

司会者:
「エドワーズ議員、あなたはイラク戦争開戦決議に賛成した件を謝罪したことで注目を集めました。あなたは、“我が国にはオープンで正直な指導者が必要だ。過ちがあれば真実を告げることができる人物だ”と言ってます。これはあなたの競争相手であるクリントン議員への直接攻撃ですか?」

ジョン・エドワーズ:
「いいえ、そうではなくて、それはこの戦争に賛成した者の良心の問題なのです。クリントン議員や他の戦争賛成者は自省して正しい判断だったのかどうか考えてみる必要があるのです。正しいと信じるなら、そうすれば良いのです。正しくないと思うなら、率直且つ正直に振舞うのが大事です。なぜなら私は、次の大統領は、国民と合衆国大統領府の信頼関係を取り戻せるような人物であることを国民が切望していると思うからです。(以下略)」

司会者:
「クシニッチ議員、イラク戦争に反対しながらそれに資金を提供することができるでしょうか?」

クシニッチ:
「できません。国民に対して、戦争には反対だが引き続き資金提供に賛成してくれというのは矛盾しています。戦争への資金提供に賛成するたびに、戦争を再度支持することになるのです。実際のところ、この場に居る同僚議員達はワシントンDCで戦争への資金提供に賛成してきたばかりです。民主党はこの戦争を終わらせる力があるのだから、終わらせるべきです。(以下略)」

エドワードは最初から戦争には反対で、左翼過激派からは人気があるが、あまり過激にならないように暗いニュースいわく「優等生的発言」で抑えている。クシニッチは候補になる可能性ゼロなので本音が言えるといったところだろうか。

さて暗いニュースはハイライトとしてオバマとクシニッチのやり取りを次のように取り上げている。

オバマ:

「このテロリズムという問題にもういちど立ち返ってみましょう。打ち倒すべき正真正銘の敵、解体すべきネットワークが存在することは確かです。理知的に我が国の軍事力を行使するにあたっては我々の誰も対立しませんし、あるいはテロリストを排除する際に致命的な武力を行使する場合もありますが、同時に、同盟を組織し世界中に信頼を拡大する努力がこの6年間非常に欠けていました。思うに、次期大統領にとって最重要課題となるのは、我が国の直面するそうした困難への取り組みでしょう。」

クシニッチ:
「オバマ議員、今の発言は非常に挑発的ですね。以前からあなたは、イランに関してあらゆる選択肢を考慮すると言ってますね。国民にとってその本当の意味を思案することは非常に大切だと思うのですが、あなたは別の戦争に向けて準備を整えつつあるようです。私が思うに、地球温暖化と地球戦争化は避けることが重要です。全ての中心は石油です。我々は石油のためにイラクに侵攻しました。今、我が国は石油のためにイラン攻撃を目論んでいます。外交政策を変えない限り、つまり戦争を政策手段としている限りは・・・」

(中略)

オバマ:
「もう少し時間をもらって反論します。イランと戦争を始めるのは深刻な過ちになると思いますよ。しかし、イランが核兵器を保有し、合衆国と周辺国にとって脅威であることは疑いようのない事実で・・・

「核兵器開発途上にあるのは明らかでしょう。専門家も否定しませんよ。イランはテロの最大支援国であり・・・」

クシニッチ:
「それはまだ論争中で・・・」

オバマ:
「ヒズボラやハマスも支援を受けてます。」

クシニッチ:
「それはまだ論争中です。」

オバマ:
「デニス、(党内に)反論はないはずだ・・・」

クシニッチ:
「まだ論争中ですよ。」

オバマ:
「終わりまで聞いてくれ。世界各国に同盟を拡大することについては我々に対立はないはずだ。だが、核拡散国家が存在すればテロリストの手に核兵器が渡ることになり、アメリカにとって深刻な脅威になるのだから、この問題を真剣に受け止めるべきだ。」

司会者:
「時間オーバーです。グラベル議員、30秒でどうぞ。」

グラベル:
「とんでもない。イランなら、我が国はもう26年間も経済制裁してるじゃないか。合衆国大統領は彼らを“悪魔”と呼んで、連中をひどく脅してるんだ。それでどうなる?そんなことに効果などない。意味ないんだよ。彼らを認めるべきだ。わかるか?核不拡散条約の最大の違反国は誰だ?アメリカ合衆国だよ!我が国は軍備縮小を始めると約束しておいて、何にもやっちゃいないんだ。我が国は核兵器をさらに増やしているじゃないか。あんたら、どこを核攻撃するつもりだ?教えてくれ、バラク!バラク!あんたはどこを核攻撃したいんだね?」

オバマ:
「(苦笑して)どこも核攻撃する計画はないよ、今のところはね。マイク。約束しよう。」

(会場、笑い)

グラベル:
「そうか、良かった。それじゃもうしばらくは安全だな。」

これに対する暗いニュースの反応はというと、、、

バラク・オバマはリーダーシップを示したつもりかもしれないが、醜態をさらしたのは彼だ。クシニッチの指摘は見事だった。グラベルの突っ込みはジョン・スチュアートを超えそうなほど過激だ。

オバマには外交能力があるとは思えないが、少なくともイランの脅威に気がついているという点ではくしニッチやグラベルのアホどもよりはましである。イラク国内でイランからの援助がアメリカ兵らの死傷に直接関わっているという事実は動かしようがない。それをあたかも陰謀説ででもあるかのように唱えるクシニッチは現実感覚ゼロだ。グラベルにおいては笑いものになっただけ、ああ恥かしい。

本命以外の複数を含む討論会はこういうアホな連中が出てきて笑点のような面白さはあるかもしれないが、候補者の本音を聞くとか政策を知るつもりならほとんど意味のない時間つぶしである。ま、テレビ写りがどれだけいいかということを試す分には多少の意味はあるかもしれないが。

次回は共和党討論会の模様をお届けする。

May 19, 2007, 現時間 11:12 AM

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