May 13, 2007

アメリカは敗者を選ばない

どうも最近アメリカの保守派の間では2008年の大統領および上院下院一般選挙において共和党が惨敗するのではないかという悲観的な見方をする人が増えている。

こういっちゃ何なのだが、アメリカの保守派は概して悲観的な人が多い。そんなことを私がいうと、「私は現実的なだけだ」と反論がかえってきそうだが、まだ一年半も先の選挙を今からあきらめていたのでは勝てるものも勝てなくなるではないか?どうしてこうアメリカの右翼はふがいないのだろう。

この間も朝のラジオ番組でゲストが「民主党から大統領が出ることは免れない事実なので、なるべく共和党に害を与えない民主党候補、(例えばヒラリーとか)を応援すべきだ」などと馬鹿げたことを言ってるのを聴いてあきれてしまった。

いったい保守派のこの絶望感はどこからくるのだろう?彼等の悲観主義は本当に現実的なのだろうか?アメリカ市民は共和党の大統領にも議会をも見放してイラク即刻撤退を唱える民主党を選ぶのだろうか?

私の知り合いの旧保守派の男性は、アメリカ市民は彼も含めネオコンを完全に見放していると言い張る。だからネオコンに乗っ取られた共和党が次回の選挙で勝つ可能性は全くないというのである。だが私はそうは思わない。それというのも普通のアメリカ人は新保守派と呼ばれるネオコンとはいったいどういうものなのか全く分かってないからである。実を言うとしょっちゅうお前はネオコンだと左翼からいわれている私ですら、ネオコンとはいったいどういう思想なのか、と問われても具体的に説明することができないくらいだ。もっとも私は自分は旧保守派だと考えているのだが。

ミスター苺曰く。

アメリカ人は勝者を好む。もし一年後にイラク戦争にだいたい勝っているようなら、とりわけメディアによって期待がかなり薄れていることでもあり、共和党はすんなり勝つだろう。

たとえ勝ってるかどうかハッキリしていなかったとしても、明らかに現在よりは良い状態になっていれば、共和党は勝つだろう。なぜなら共和党はずっとこの戦争に勝つ必要があるといい続けてきたからだ。それにひきかえ民主党は2008年の段階で何をいおうと途中でタオルを投げようとしていたことが記録に残っている。そういうことは市民はよく覚えているものだ。

民主党が勝てる唯一の条件は2008年の11月の段階でイラク状況が今よりも悪化している、もしくは悪化したように見えることだけだ。

アメリカ人は負けず嫌いで案外単純な国民だ。細いニュアンスで色々言い訳するような大統領より、「我々は勝てる!」というメッセージをもった大統領を好む。悲観的でアメリカ市民全体を憂鬱な気分にさせたカーターがアメリカ人であることを誇りに思わせてくれたレーガンを選んだのも、税金をあげない公約しながらそれをやぶっていいわけがましかったパパブッシュより新しい計画があると市民に希望を与えたクリントンが勝ったのも、アメリカが負け犬を好まない証拠だ。

2008年の大統領選挙で一番大切なメッセージは「戦争には勝てる、勝たねばならない」という共和党候補に対して民主党の「戦争は負けた。即撤退すべし」の戦いとなる。勝ち負けの選択なら勝つ方を選ぶのがアメリカ人だ。

歴史的に見てアメリカ市民は戦争中に撤退を唱える候補を選んだことがない。これは大統領が民主党であろうと共和党であろうと区別はない。

近年の歴史で戦争中の現職大統領の二期目の選挙が行われたことは二回ある。ベトナム戦争中の1972年にジョージ・マックガバン上院議員は戦争を終わらせるという公約で現職の大統領に挑戦した。また1864年にリンカーン大統領に挑戦したジョージ・マクラレン将軍は本人は戦争を支持しながらも所属党の民主党は明らかに停戦して南部の独立を認めることを押していた。

どちらのケースも反戦主義は市民から完全に拒絶された。マクラレンは55:45で敗北したし、マックガバンの場合はもっとひどい62:38の大敗退だった。どちらの場合も泥沼化する戦争で人気がた落ちになっていた現職大統領に挑戦したのに失敗したのである。

二期続いて任期の終わった大統領が、反対側の党の候補によって交替されるということはよくある。民主党のウッドロー・ウィルソンの二期が共和党のウォレン・G・ハーディングにかわった1920年。ハリー・トルーマン(民)からドワイト・アイゼンハワー(共)になった1952年、そのアイゼンハワーはジョン・F・ケネディ(民)と交代した。また共和党ニクソンとフォードの8年は民主党のカーターと交代。最近ではもちろん民主党のビル・クリントンが共和党のジョージ・W・ブッシュと入れ替わった。

しかしこのうちで戦争中に行われた選挙は1952年の朝鮮戦争の時だけだ。他の選挙はすべて平和時のものである。アイゼンハワーは共産主義撲滅を唱えて出馬した。孤立主義を唱える保守派ライバルをくじいて共和党候補の座を獲得、一般選挙でも鳩派の非常にリベラルな民主党候補をやぶって当選した。

2008年の選挙は1952年の時とは正反対に現職の党が勝利を求め、挑戦する党が勝利なくして撤退を押す反戦派だということだ。

正直いって、2008年を迎える状況はアメリカの歴史上例がない。だからどうなるかはっきりした予測をたてることは難かしい。だが、どの選挙でも共通していることが一つだけある。それはアメリカ市民は戦争中に負けを唱える党を選ばないということだ。

現実的だのなんだのと悲観的になる前に、アメリカの保守派はもっと共和党の候補たちに希望を持ってほしい。メディアは民主党のほうが優秀な候補が多いように報道しているが、私は共和党の方がずっと質の高い候補が多いと思う。

民主党のメッセージはただひとつ。「イラクは負けた。あきらめて即撤退しよう。」それだけだ。敗者を嫌うアメリカ人がそのメッセージを奨励するとは私にはどうしても考えられない。

私は今のアメリカ保守派の態度を見ていると、ヘルムスディープの戦いを前にアラゴルンにこの戦争に勝ち目はない、戦うだけ無駄だと訴えるレゴラスを思い出す。(JRRトールキン著の「指輪物語」を原作にした映画の一シーン)しかし士気を奮い起こしたセオドン王を前に「絶望した私が間違っていた。」とレゴラスが認めたように、私もアメリカ保守派に奮起してもらいたいと切に願う。

保守派諸君!あきらめるな!選挙はまだ一年半も先だ。イラク戦争に新作戦はまだ始まったばかり、勝ち目はいくらでもある。アメリカの将来のために、世界平和のために、悪と戦おう!

May 13, 2007, 現時間 12:02 PM

エントリーが気に入ったらクリックしてください。
にほんブログ村 政治ブログへ

トラックバック

この記事のトラックバックURL: http://biglizards.net/mt4.21/agakhantrack.cgi/2068

コメント

前のコメント

登録ありがとうございます。 さん コメントを残して下さい。 (サインアウト)

このサイトへ初めて投稿される場合には、サイト主による承認が済むまで投稿が画面に現れないことがあります。しばらくお待ちください。


登録者を記憶する(URL必要)


© 2006-2015 by 苺畑カカシ - All Rights Reserved