May 1, 2007

イラン服装警察が次々と女性を拘束

今イランでは春の服装規制取り締まりが行われており、この厳しい規則に従わない女性たちが次々と道端で警察官に呼び止められ罰金を課されたりひどいときは何時間も拘束されるなどのひどい目にあっている。イラン当局の発表ではすでに15万人の女性が拘束されたという。

Gateway Punditで「派手な服装をしている」という理由で警察に呼び止められている女性たちの写真が何枚か掲載されているので参照のこと。女性たちは皆、黒っぽい長いコートを着て顔を出しているだけなのだが、それでも警察官は肌を見せすぎ、体の線が出すぎ、という理由で注意している。

イランはムラーと呼ばれる宗教家が支配している国であるにも拘わらず、国民そのものはそれほど宗教心は濃くなく、結構世俗的である。ネットで知り合いになったあるひとはよくイランで仕事をしていたが、シーア派特有の民族衣装で歩いているひとはほとんどおらず、女性も色のついたスカーフくらいはかぶっているが黒いバーカを来て歩いているひとには行き当たったことがないと話していた。

しかし最近イラン政府は自分達の国民への支配力が劣ってきていることを懸念してか政治的に国民への弾圧を激化させている。イランブロガーたちの話では、人気ブログはアクセス不能になったりブロガー自体が拘束されたりすることがたえない。また市民が外国からのニュースを取り入れられないようにとサテライトディッシュを禁止し、屋根に備えてあるディッシュを次々に破壊したりしていった写真もみたことがある。また政府に批判的な歌を歌ったとして人気ラップ歌手が逮捕されるなどという事件も起きている。

このような状況でも女性服装取締りはかえって国民の反感を買うと批判的な政治家もいないわけではない。

実力ある政治家のなかには政府と警備隊の取り締まり方批判的なひとたちもいる。

「ある種のやり方は好ましくない結果を生みます。」アヤトラ・セイード・モハメッド(Ayatollah Seyyed Mahmoud Hashemi Shahroudi)氏。「女性や女児を髪型がおかしいと言って警察に引きずりこんでも社会の道徳観を高めることにはなりません。かえって悪影響をおこすでしょう。」ADN Kronos

以前にオーストラリアのイマームがベールをしていない女は布巾をかぶせていない肉と同じだ、猫に食べられてもしょうがないと言って顰蹙を買ったが、イランのムラーたちも負けていはいない。

世の中には三種類の女がいる。

ひとつは、ベールをちゃんとかぶってない女たちだ。この女たちはバスのように誰でも乗られる。

ふたつめはのスカーフを着てるがイスラムのオーバーコートを着ていない女達だ。このものたちはタクシーのようにある種の乗客だけを乗せる。

最後に私の妻のような女達。この女達はロバのように一人しか乗せない。

自分の妻をロバとはなんだ、全く! それにしてもイスラムの男達はそんな自制心が働かず、体や顔を隠していない女をみると誰でも襲いたくなると言うのか?イスラム教ってのはそんなにしつけのなってない宗教なのか?

私は前述の政治家と同じ意見だ。こういうどうでもいいことを厳しく取り締まり始めると国民の政治への関心はかえって高まってしまう。政府が国民の生活の一部始終をコントロールしようとする意図は理解できるが、イランはアフガニスタンのような原始的な国ではない。国民の教育も民度も高い。あまりにも国民を弾圧しすぎると学生らを中心に革命がおきる可能性が高い。

もっとも我々にしてみれば、イランが内部から崩れてくれることは好ましいので、この状況は長い目でみたらよい方向へ進む可能性もある。だが、それはイラン市民がいったいどれだけこのような横暴に耐えることができるかにかかってくるだろう。

May 1, 2007, 現時間 6:40 PM

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下記投稿者名: アラメイン伯

イスラム教って偏屈な宗教ですね。
この基準もそのまま日本に適用したら若い女の子は皆、拘束それますね。

上記投稿者名: アラメイン伯 Author Profile Page 日付 May 2, 2007 7:21 AM

下記投稿者名: scarecrowstrawberryfield

アラメインさん、

イスラム教の過激派は女性を人間として見ず、自分の所有物だと見ているからこういうことになるのでしょうね。

女性が自分の意志で何かできると考えていない。だから男性が常に女性を束縛していなければならないという理屈なんでしょう。

日本でも昔は男尊女卑がありましたが、ここまで女性をひどく扱うことはありませんでしたね。世界中の文化でもここまで女性を迫害する社会もめずらしい。

カカシ

上記投稿者名: scarecrowstrawberryfield Author Profile Page 日付 May 2, 2007 11:02 PM

下記投稿者名: sou

イスラム主義と女性差別が直接的にイコールであるといった単純な構造ではないです。

例えばサウジアラビアでもまた、同様の厳しい服装規制、女性差別があり、それを宗教警察が取り締まっています。女性が夫以外に肌を見せることは禁止されていますし、車を運転することもできません(サウジは車社会)。まして男女が人前で手をつなぐなんて、決して許されないでしょう。

ただ、そうした差別が強まったのはサウジ王室がアメリカと組んで、石油を使った金儲けを始めてからです。
そして、特権的な独裁者である王室に対する反発や、アメリカ文化の流入によるモラル低下を憂う人々の目をそらすために、国内的には厳しい宗教的な規律が適用されるようになったのです。

サウジのある女性の自由活動家が、サウジ出身のイスラム原理主義者(でありテロリスト)であるオサマ・ビン・ラディンにある種のシンパシーを感じると語っているのを、何かのドキュメンタリーで見たことがあります。
コーランには服装規定など書かれていないではないか、ムハンマドの時代、女性はロバに乗っていたではないか、というわけです。彼女たちはイスラムの教えを権力者たちが恣意的に解釈し、政治的に利用して、国民を抑圧していることに怒っているのです。

彼女たちにすればビン・ラディンが自由主義者として(も)見えてしまうということに問題の複雑さもあるのではないでしょうか。

上記投稿者名: sou Author Profile Page 日付 May 3, 2007 7:24 PM

下記投稿者名: scarecrowstrawberryfield

Souさん、

そうした差別が強まったのはサウジ王室がアメリカと組んで、石油を使った金儲けを始めてからです。 そして、特権的な独裁者である王室に対する反発や、アメリカ文化の流入によるモラル低下を憂う人々の目をそらすために、国内的には厳しい宗教的な規律が適用されるようになったのです。

そうだったんですか。それじゃあアメリカがサウジの人たちに恨まれるわけですね。でもそのビンラデンがモハメッド時代に戻ってをモットーにして自分勝手な戒律を作ったタリバンと仲良しになったというのも皮肉です。

カカシ

上記投稿者名: scarecrowstrawberryfield Author Profile Page 日付 May 4, 2007 5:31 PM

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