December 20, 2006

イラン選挙:アハマディネジャド大統領勢力衰える

皆さんは、最近イランの大統領アハマディネジャドの勢力がイラン国内で衰えていることをご存知だろうか。 先日行われたイランでの選挙での開票結果が発表されているが、アハマディネジャド大統領派は各地の地方選挙で大幅に議席を失いつつあり、大統領の勢力衰退を示している。

 [テヘラン 17日 ロイター] 15日に行われたイラン専門家会議と地方評議会選挙は17日までの中間集計で、保守穏健派が躍進し、保守強硬路線のアハマディネジャド大統領派が苦戦していることが明らかになった。

選挙一週間くらい前にサウジの新聞がこの結果をかなり正確に予測していたが、大統領派の勝敗は投票率にかかっていると書かれていた。 アハマディネジャドは投票率が低い方が有利だと踏んでおり、だいたい15%くらいの投票率だろうと予測していたらしい。確かに過激派にとっては投票率が低い方が有利なのはどこも同じ。 ところが蓋をあけてみたらなんと保守派の選挙運動が身を結んだと見えて投票率は60%という高さ。 

地方評議会選挙では特に重要といわれているテヘラン市会議員の選挙では15議席中14議席をもっていた大統領派はなんと4議席しか保持できなかった。 

どうしてこのような結果になったのだろうか。 

先の選挙でアハマディネジャドを支持していたのは故ホメイニ派の過激派だった。 しかしアハマディネジャドは自分の支持する聖職者Ayatollah Muhamad-Taqi Mesbah-Yazdiを支持するムラー(宗教指導者たち)をイラン専門家会議のメンバーに多く当選させ、多数議席を占めるYazdi派のメンバーによって現議長であるホメイニの跡継ぎアヤトラ・アリ・カメーニ(Ayatollah Ali Khamene)を議長の座から引き摺り下ろそうと企んでいたのである。

ところがこのたくらみがカメーニにばれてしまい、専門家会議に立候補しそうなアハマディネジャド派の候補はすべてカメーニによって失格させられた。ちなみに保守派のラフサンジャニ派の候補もラフサンジャニ自身を除いた全員が失格となった。 (このへんのことはかなり複雑でイランの政治機構をはっきり理解していないカカシとしてはみなさんへの説明にもちょっと苦労するのだが、、)ま、ともかくだ、ホメイニ派の支持者たちはアハマディネジャドが過激派のホメイニ派を差し置いて自分の勢力を強めようとしていることに反感をもって今回の選挙はボイコットしてしまったわけだ。

それにひきかえ、当初はボイコットするだろうと思われた、保守派の前大統領ハシミ・ラフサンジャニ派と、穏健派とが結託して選挙に参加したことで、反アハマディネジャド派の投票率が大幅に高まったのである。

これでアハマディネジャドは終わりだというわけではないが、彼の勢力が極度に衰退したことは確かである。

ところで、こんなイランの情勢を知ってか知らぬか、アメリカは今湾岸で海軍増強を計画中の模様

米国、イランけん制で湾岸での海軍増強を計画=CBS

米国防総省は、イランに対する警告として、湾岸地域に配備する米海軍の大幅な増強を計画している。CBSニュースが18日伝えた。

 CBSは、匿名の軍関係者の話として、同計画は湾岸地域に2隻目となる空母の配備を求めるものだと伝えた。CBSによると、この措置は1月に着手し、対イラン攻撃を目的としたものではなく、米当局者にとって一段と挑発的になっているイランの行動をけん制するのが目的だとしている

カカシとしてはブッシュ大統領の任期が切れる前にイラン攻撃をすべきだと思う。 この動きがイラン攻撃につながるのかどうかは不明だがちょっと気になる動向である。

December 20, 2006, 現時間 3:44 PM

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コメント

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下記投稿者名: asean

こんにちは、カカシさん

>~イラン攻撃をすべきだと思う。

カカシさんらしい、っと言えばらしいのですが・・・イランを米国が攻撃する”理由”は何ですか?

ブッシュ大統領になってから米国の基本姿勢は『米国(本土)の安全を護る』ことに主眼が置かれて民主党が好きな「世界の警察」みたいなことは採用していないですよ。

イランがイラクのシーア派やヒズボラ、ハマスを支援した所でそれは直接米国本土への脅威とはならないでしょ?

イランの大儀は「中東地域での覇権」であって必ずしも「イスラムによる世界統一」というアルカイダ系のレベルには達していないですからね。

早い話が(中東ムスリムが大好きな:笑)陰謀説やらオカルト説を補完でもするようなイラン系シーア派原理主義テロをアメリカ国内で実行でもすれば話は別ですが・・・

仮にそうしたテロが発生したとしても(規模にもよりますけどね)米国がイランを武力攻撃した場合には
イラクの場合とは大きく違って、初めから「イスラム教とイスラム教徒に対する攻撃」という事態に陥ってしまいます。
(9.11からのアフガンへの報復からイラク侵攻とは比較にならない自作自演説が噴出しますよ、苦笑)

これは、湾岸”アラブ”諸国内で何とかなる”はず”だったイラクへの攻撃とは決定的に訳が違ってしまいます。

ですんでイランが如何に騒ごうが、現状では米国がイランを攻撃する”理屈”が見当たりません。

まぁ~、イラク、イランを米国が抑えてOPECを凌駕する新型の石油機構を構築するんだぁ!・・とでもあからさまに宣言するら別ですが(あはは)

自由・民主主義を広める・・・ってなお題目はあくまでも国際世論用であって基本はあくまでも米国本土の安全が優先です。

どうしてもイランを攻撃したいのであれば(?)、前にも僕がコメントしたように潜水艦発射型の戦略核を使用して
イランを地図上から抹消することをお勧めします(最も安上がりな方法です)。

上記投稿者名: asean Author Profile Page 日付 December 20, 2006 7:55 PM

下記投稿者名: 舎 亜歴

どうもTBがうまくゆきません。

http://newglobal-america.tea-nifty.com/shahalexander/2006/12/post_a96c.html

現時点での開戦は最強硬派のレザ・パーレビも反対しています。と言っても、イラク研究グループの報告のようにあたかもイランにすがるような対話は論外です。ではどうするか?そんな疑問にヒントを与えてくれるのが、文中でリンクされているパトリック・クローソンとマイケル・アイゼンスタッドの論文です。

ともかく恫喝をうまく合わせた対話ということです。イランは北朝鮮やサダム時代のイラクと違って民主化運動も盛んなので彼らを味方にするのも重要。

対イラン開戦の是非についてはゲーツ国防長官の議会公聴会答弁にもリンクしています。両リンクが特に参考になります。他にもありますが。

上記投稿者名: 舎 亜歴 Author Profile Page 日付 December 20, 2006 8:33 PM

下記投稿者名: asean

カカシさん、舎さん、こんにちは

ご参考迄に
Virtual reality of Islam:Talks with Islam
をどうぞ。

どういう訳か、強攻策というオプションが必ず付いているのが困ったモンなんですが・・・・

上記投稿者名: asean Author Profile Page 日付 December 20, 2006 11:48 PM

下記投稿者名: アラメイン伯

イランの核開発が現実の段階になればイスラエルが空爆なり何にかのカタチで攻撃するでしょう。

上記投稿者名: アラメイン伯 Author Profile Page 日付 December 21, 2006 6:48 AM

下記投稿者名: Sachi

みなさんこんにちは、

イランを今攻める理由はですね、一口でいうとイラクです。なぜアメリカはイラクで苦戦しているのかといえば、本来ならばアルカエダの連中をやっつけて、スンニ派を鎮圧した時点で、後はイラク軍に治安維持を任せてアメリカは御退という具合に運ぶはずだった。ところがイランがサドルなどを利用してイラクのシーア派をそそのかし、イラク内戦に手を出し始めた。

アルカエダへの外国からの支援は、アメリカの効果的な攻撃によって今は一時期よりも激減しましたが、シーアへの支援はアメリカがシリアやイランとの国境を厳しく取り締まっていないのでがら空き状態。

イラクを安定化するにはイランからの邪魔を阻止する必要がある。そのための攻撃ですよ。これはアメリカにとっては結構自己中心的な攻撃です。

とはいっても、アメリカがイランを侵略するなどということはできませんから、攻撃は以前にも提案したような経済制裁+ピンポイント攻撃になるだろうと思います。それを期にイランの学生たちがたちあがって革命なんてことになってくれれば好都合なんですが、そう簡単にはいかないでしょうね。

イスラエルですが、イスラエルがイランを攻撃するのはそうそう簡単にできることじゃありません。アメリカがやるより大変だと思う。しかしイランがイスラエルを挑発すればイスラエルは核兵器を使うかもしれない。これは何としてでもとめなければならない。

となるとやはりアメリカがやるしかないとおもいますね。 

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 December 21, 2006 5:40 PM

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