August 10, 2006

英米間の旅客機多発テロ計画すんでのところで未然に阻止

レバノン戦争もイラク戦争も対岸の火事と油断をしていると、どうして私たちが常に対テロ戦争に厳しく取り組まなければならないのか、今回のこのような事件で思い知らされる。まずは毎日新聞の記事より。

米国行き9機同時爆破? 21人逮捕 [ 08月10日 21時14分 ]

 【ロンドン小松浩、ワシントン和田浩明】英警察当局は10日、英国発米国主要都市行きの複数の旅客機の同時爆破を狙った大規模テロを未然に阻止し、容疑者21人を逮捕したと発表した。米国を狙い、旅客機を使った手口から国際テロ組織アルカイダの関与が疑われている。英政府は5段階のテロ警戒度を最高度の「危機的」に引き上げ、厳重な警戒態勢を敷いている。英国の各空港は安全確認のため離着陸が一時禁止されるなど大混乱し、欧米を中心に世界各国に影響が広がった。

 AP通信は米当局者の話として米国のユナイテッド、アメリカン、コンチネンタルの3社のワシントン、ニューヨーク、カリフォルニアなど行きの便が標的になったと伝えた。英BBC放送は容疑者が週明けに3機ずつ3回に分けて計9機を爆破する計画だった可能性を報じている。爆発物に転用できる液体を使って飛行中に旅客機を爆破しようとしたとみられる。

...米CNNテレビは米政府高官の話として「実行段階に極めて近かった」と伝えた...

 容疑者グループの主犯格は英国生まれで、多くはパキスタン系英国人だという。警察当局は数カ月前から捜査を進め、10日未明にロンドン、バーミンガムなど3カ所を捜索して逮捕に踏み切った。動機などはまだ明らかでないが、米英の中東政策に対する怒りが背景にあるとの見方が強い。

 ロンドンのヒースロー空港をはじめ英国内の空港では離着陸や手荷物の持ち込みの一時禁止措置がとられ、欧州各国などからの英国行き便もしばらく運航を見合わせた...

 ロンドンでは昨年7月にパキスタン系英国人らが地下鉄・バスを同時爆破する自爆テロが発生、52人が犠牲になった...

 (強調カカシ)

毎日新聞の記事には書かれていないが、この「実行段階にきわめて近かった」というのがどれほど近かったかといえば、APのニュースでは2〜3日の間だったとある。また液体爆発物を使っての計画だったことで、機内持ち込みの荷物は全面的に一時さしとめ。子供の哺乳瓶などはその場で試食など厳しい中身の検査がおこなわれた。このセキュリティーチェックの列が4時間にもなったという。

私はこの間のニューヨーク旅行でコンティネンタルでかえってきたばかり。ハワイ出張ではいつもユナイテッドだし、本当に他人事ではない。

しかし、今後の警備を考えた時、いったいどういう方法が一番能率的で安全なのか、ここでしっかり吟味する必要がある。まさか機内持ち込みの荷物を全面的に禁止するわけにもいかないだろうし、水やお茶を持ち込んではいけないなどということになったら、私は長時間に渡る渡航にたえられない。

まず、最近の渡航において、スーツケースに鍵をかけることはほとんど不可能になった。目の前でスーツケースをあけて中身を調べてくれる空港もあるが、たいていの空港では人手不足なためひとつひとつのチェックはしない。それで無作為抽出で選ばれたスーツケースだけ荷物を預けた乗客がすでにいないところで開けるから、鍵がかかっていたらその鍵はきられてしまう。私はこれでもうすでに三つも鍵を壊されてしまった。

それで最近ではもうスーツケースに鍵などかけない。(規定の鍵をかけてあれば壊されないという話だが、航空会社の係員があけられるなら鍵などかけていてもあまり意味はない。)そういう事情だから私はスーツケースに大事なものなどいっさい入れていない。だが、これでもし機内持ち込みの手荷物を禁止されたらどうなるのか。

我々が大切なものを預けたくない理由はいろいろあるが空港係員による窃盗、移動中の破損、紛失、遅れなどがあげられるだろう。そう考えるとラップトップやCDプレーヤーなどの貴重品や、常備薬などスーツケースに入れて預けるのは気が引ける。つまり、手荷物持ち込み禁止は非現実的な対策だ。

ではいったいどうすればいいのか。政治的に正しい言い方ではないが、この際乗客のプロファイリングが必要になってくると思う。先の記事で私が強調した部分をもう一度読んでいただきたい。これまでイギリスでテロ容疑で逮捕された犯人たちはイギリス国籍はもっているものの皆外国、特にパキスタン出身の若者がほとんどである。そしてその名前も、モハメッド、アクメッド、オマー、アリなどといった明かなイスラム教徒ばかりだ。ヨーロッパ系のピーター·スミスだのケビン·ブッシュなんて名前のテロリストは先ずいない。どうやらテロリストによる非イスラム教徒の地元若者リクルートはあまりうまくいってないようだ。

こういうことをいうと人権擁護市民団体などが、人種差別だの人権侵害だの騒ぎだすだろうが、この際そんなことをいっている場合ではない。誰が考えてもオクラホマ出身の70歳になるセルマおばあちゃんと、パキスタン出身の19歳のオマー君とでは、どちらがテロリストの可能性が高いかなど明白なはず。それを人権云々を心配してセルマおばあちゃんのおこしの中身までいちいち調べるのは時間の無駄というものだ。

決して人種でプロファイルしろというのではない。だが乗客の元の国籍、名前、年齢、性別など十分にヒントとなる項目はあるはずだ。警備が厳しくなればそれにかかる人件費も時間もかかる。それでなくても空の旅は難かしくなっているのだ。今後飛行機での渡航が安全かつ能率的に行われるためには、プロファイリングは必要不可欠になってくるだろう。


関連ブログ記事:
アメリカ行き航空機10機の同時爆破
英でテロ計画、摘発

August 10, 2006, 現時間 4:23 PM

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下記投稿者名: ななっち

こんにちは。はじめまして。 私は昨日ロンドンではないけど、イギリスの空港にいたので、大変でした。 当分飛行機に乗るの怖いです。 イギリスの空港はセキュリティは激アマですし。

プロファイリングですが、昨年イギリスでは7.7テロの後、警視総監が

「白人の老婦人とパキスタン系の20代のどちらも尋問するのは金と時間の無駄だ。重点的に怪しいのを尋問しろ」

と発言したことが元で、やはり「差別だ」との非難を受け大問題になったことがありました。それで謝罪、撤回という流れに確かなったのですが、では実際はというとあの直後、大きな荷物を持った「アジア系」(イギリスではアジア系というのはインド、パキスタン、バングラディッシュ系のことを指します)の男性は必ず尋問されてました。

ただ、このプロファイリングは公然と行うことによって、「Potential terrorits」のグループ分けられた人間の被差別感情を刺激し、テロリスト側に流れるのを加速するという側面もあります。

またヨーロッパ大陸までいくと、例えばドイツでテロ未遂でつかまるのはイスラムに改宗した20、30代の白人女性が多いし、プロファイリングを行えばそれの先を行くように、うっかりものの乗客のかばんに時限爆弾を入れる、プレゼントと称してあげたものが爆弾だった、空港職員の買収、洗脳等々の作戦を取られた日にはどうしようもありません。 

イスラエル方式に、全員、全部の荷物に対して厳しい検査方法を取るしか私はないかなぁと思っています。 

実際にこうなったら、テロリストを「レジスタンス」と呼んでかばい続けた人間は、政府のそうした政策を非難するんでしょうけどね・・・

テロリストの摘発も大事なんですが、いまだ放置されているパキスタンの過激なマドロサのような教育問題こそがテロの根本で、そろそろテロリストを「育てない」という視点も欧米に出てきてほしいなぁと思う今日この頃です・・・。 

いずれにしよ、本当に・・・飛行機に乗るの当分いやな気持ちになりますね~。 

上記投稿者名: ななっち Author Profile Page 日付 August 11, 2006 4:30 AM

下記投稿者名: アラメイン伯

これも最初から民間人を狙った大虐殺でしょう。
イギリスやアメリカに憎しみがあるなら空母や軍事施設を狙えばいいのに。

こんな卑怯なテロリストにはヒトカケラの正当性もありません。

上記投稿者名: アラメイン伯 Author Profile Page 日付 August 11, 2006 7:41 AM

下記投稿者名: Sachi

ななっちさん、

テロリストの摘発も大事なんですが、いまだ放置されているパキスタンの過激なマドロサのような教育問題こそがテロの根本で、そろそろテロリストを「育てない」という視点も欧米に出てきてほしいなぁと思う今日この頃です・・・。 

諸外国でテロリスト養成のような教育をしているのを止めるのは内政干渉でちょっと無理があると思いますが、イギリスや他のヨーロッパ諸国内のモスクなどで過激な思想を教育しているという事実をそれぞれの国がもっと監視すべきだと思いますね。

自由主義国家では言論や信仰の自由がありますから、教えそのものを禁止することはできないでしょうけど、彼等の資金源や募金運動などが外国のテロ軍団にながれていないかどうか、外国からの違法移民をかくまっていないかどうか、そしてモスクで配られるビラとか、本やテープ、演説などより厳しい監視は可能なはずです。

フランスなんか公共の場でイスラム教徒がスカーフをしてはいけないなんてくだらない法律を通す暇があったら、もっと大事なことに力を入れてほしいと思いますね。


カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 August 11, 2006 9:01 AM

下記投稿者名: Sachi

アラメイン伯さん、

イギリスやアメリカに憎しみがあるなら空母や軍事施設を狙えばいいのに。

油断をしていたクリントン時代ならともかく、今は軍事施設への攻撃はほぼ不可能でしょう。だからこそやさしい標的である移民間施設が狙われるのです。

軍人はある程度の攻撃は覚悟の上ですが、民間人が襲われた場合はその恐怖間が増大します。それがテロリストがテロリストであるゆえんです。

カカシ

上記投稿者名: Sachi Author Profile Page 日付 August 11, 2006 9:04 AM

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