August 9, 2006

イスラエル戦闘拡大

セオドン王『開戦の危険を冒すのは好まない。』

アラゴルン『開戦はすでに貴殿のうえにもたらされたのだ。貴殿が好むと好まざるとにかかわらず。』

この会話はJRRトールキン原作の指輪物語を原作にしたピーター·ジャクソン監督の映画、ロード·オブ·ザ·リングスの一場面である。ローハン国の王セオドンは国境ぞいの村がすでに敵に攻撃され、自分の息子が指揮する偵察軍が敵に待ち伏せされ息子を失うまでの打撃を受けていながら、まだ開戦への決心がつかないでいた。なんとか全面戦争になることを避けたいと考えていたのである。だが敵はついそこまで迫っていた。セオドン王には全面戦争以外の道は開かれていなかったのである。

イスラエルのオルメルト首相がおかれている立場はまったくこのセオドン王と同じだ。イスラエル兵が拉致されたのをきっかけにイスラエルはレバノンに迅速な攻撃を仕掛けはしたものの、オルメルト首相はレバノン南部のヒズボラ基地を破壊し、イスラエル軍が占拠することで、さっさと戦闘を終わらせるつもりだったのだろう。初めの一週間ぐらい空爆でたたき、陸上部隊を一個隊くらい出動させる程度で十分だと考えていたようだ。

しかし、ヒズボラはおもったよりも強靭で手強い相手だった。武器をシリアを通じてイランから手に入れるなど、ちょっとやそっとの攻撃ではその能力を極端に弱体化させることは困難だ。また自分らの勢力さえ弱まらなければ、レバノン人や同族のシーア民間人がどれだけ死のうが無頓着なヒズボラは、米仏の提案した停戦条件を飲みそうもない。だから私は昨日イスラエルによる戦争拡大は避けられないのではないかと書いた。

案の定今朝になって、北海道新聞のこのニュースがはいった。

イスラエルが地上戦拡大へ 閣議承認、3万人規模に  2006/08/10 03:01

 【エルサレム9日共同】イスラエル政府は9日、治安閣議を開催、レバノン侵攻で地上戦を拡大する作戦を承認した。レバノン南部に展開中の約1万人の部隊を増員し、国境から最大で約30キロ北方のリタニ川周辺まで北進させ、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラのロケット弾発射基地をすべて破壊する計画。イスラエル放送などが伝えた。地元紙によると、総兵力は3万人規模となる。

 閣僚の1人は、国連安全保障理事会に戦闘停止決議案の協議時間を与えるため、新たな作戦の開始を2、3日留保すると述べた。安保理が決議案の調整に手間取れば、戦闘がさらに激化、犠牲者も増える恐れがある。

戦闘が激化すれば民間人の犠牲が双方に増えるのは必然的だが、レバノン内部では必要以上の民間犠牲者がでている。私は何度かそれはヒズボラが同胞の民間人を人間の盾として利用しているからだと指摘してきた。8月5日付けのナショナルポストにそのヒズボラの人間の盾作戦が詳しく書かれている。(訳:カカシ)

レバノン、タイヤー地区、ファウードファタ医師は涙ぐみながら崩壊された病院のなかから出てきた。果てしなく続くと思われたイスラエル空爆がはじめて一旦休止したからである。

レバノン南部で最後に残った、たった5部屋の医院で彼自身最後の生き残りとなった。生き延びた患者たちはすでに避難してしまっていた。

ファタ医師は記者団の数人をひしゃげたがれき、引き裂かれた壁、イスラエルの砲弾で穴のあいた屋根など、その残骸の中を案内した。

「みてください、やつらのやったことを」ファタ医師は首をふりながら言う。「なんだってイスラエルは病院を標的にしたりするんです?」

その答えは数時間後にその付近で発見された。背の高い雑草のなかに焼けただれたロケット発射台が隠されていた。

この証拠をみせつけられたファタ医師は、病院がロケット発砲に使われていたことを認めた。

「しょうがないでしょうが、どこからか反撃しなきゃならないんですから。」彼は足で地面をならしながらいう。「ここはヘズボラの本拠地なんですから。」

病院をロケット弾発射に使っているヒズボラを批判するどころか、「しょうがない」といって弁護するのであれば、イスラエルの攻撃にあっても文句はいえないだろう。第一ここまでヒズボラに同調する人間が無関係な非戦闘員といえるのだろうか? ただの無実な民間人といえるのだろうか?

相反してヒズボラの作戦で家を追われ、ヒズボラのやり方は迷惑このうえないというレバノン住民も多くいる。レバノンで歯科医を営んでいたキリスト教の住民ナサー·カリーム(48)さんはビントジベイル村にある自宅の庭にヒズボラがロケット発射台を引きずり込んだのを目撃した。

数分後、彼は4連発の発射音を聞いた。カリームさんはかろうじて4歳の息子の耳をロケット発射音からまもるため塞ぐ余裕があったのみ。自分の耳はいまだに鳴っているという。

「ロケット弾が発射された5分後にイスラエルが空爆をはじめました。」ベイルートの避難所で安全となった彼は思い出して語る。「やつらは私たちをイスラエルの磁石にしてるんです。」とカリームさん。

この間29人の犠牲者をだしたカナでの「誤爆」にしても、最初は戦闘員など全くいないと主張していた地元市民だが、翌日赤十字ががれきに埋まった人々の救助に当たっていた時、破壊されたロケット発射台の一部を発見している。そして近所の村からも大量にロケット発射台の破片が発見されているのである。ひとつなどは二つの家の真んなかにある植木の間深くにうまっていたという。

イスラエルはあきらかにロケット弾が発射された場所を狙って攻撃してきているのであり、およそ非戦闘員の犠牲を顧みない無差別攻撃などではないことがこれではっきりする。

無論、こんな事実にはアメリカを初め世界のメディアには興味がないのだろうが。

August 9, 2006, 現時間 2:07 PM

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