July 22, 2006

戦争の犠牲者はレバノンにばかりいない

イスラエルの空爆によるレバノンでの被害は大きく取り上げられるが、この紛争が始まって以来千何百というカチューシャロケット弾がイスラエル圏内に打ち込まれており、標的がいい加減なこのロケット弾はおもにイスラエルのアラブ人集落に落ちている。昨日もこのロケット弾で犠牲になったアラブ人の子供の話がハーレツ新聞にのっていた。せっかくだから全文掲載しよう。(訳:adventureoftheultraworld)

3歳半のRabia Taluziと、兄で7歳半のMahmoudは昨日の午後、ナザレのSafafa地区の叔父さんの家から帰宅しているところだった。

通いなれた細い道を歩いているとき、空からカチューシャロケットが降ってきて、道に大きな穴を開けた。ロケット破片がまわりじゅうに飛び散り、二人の子供は殺された。
近所に住むHosni Sallahは現場に駆けつけた。「ものすごい爆発音が聞こえた。いつも子供たちが遊んでいるあたりで。駆けつけたら子供たちが倒れていた。ひとりはまだ息をしていたけど、やがて呼吸が止まった。街路が細すぎて救急車は現場まで入れなかった」
地域のラジオAl-Shams局では住民に救急車が通れるように街路を明けるよう呼びかけた。ショックで50名ほどが病院に運ばれた。

昨日までHome Front Command (イスラエル軍の一機関、テロやミサイルなど一般民衆を対象にした攻撃へ対処する部門)は、ナザレが攻撃されることはないだろうと思っていた。Home Front Command、国防省が使用する初期警戒システムが、警戒サイレンにつながっていなかったのもそのためであると地元自治体は言う。昨日の攻撃のあと、サイレンを早急につなぐことが決まった。ナザレ市のセキュリティ担当Mamoun Satiti氏はこう明かす「Home Front Commandはこれまで内々に『ナザレが攻撃されることはない』と話していた」。Home Front Commandはナザレ市の警戒装置をテストすると語る。

ロケット攻撃はナザレ市の住民に衝撃を与えた。昨日まで、ナザレの人は誰もヒズボラ(ナスララ)が自分たちを傷つけようとするとは信じなかった。
殺された子供たちの家の近くでは、街角で住民はヒズボラのミサイルの正確性について論議している。
「あいつらはただミサイルをぶっ放してるだけ。誰もそれがどこに着弾するなんかわからない。この街ではアラブとユダヤの間に違いはない。アラブの血とユダヤの血に違いなんかないだろ」
「ナスララは、アラブ人を殺害すると知っていたら、絶対こんなことはしない。でもときどきヒズボラのミサイルは的を外れてしまうんだ」

住民たちはどこに怒りをぶつけていいのかわからない。昨日のカチューシャで父親が怪我をしたFadel Sawalha氏は、リビングから割れた窓ガラスを見る。彼は怒っているが、慎重に言葉を選ぶ。
「俺が責めるのはオルマートとペレツ(イスラエル国防相)、ナスララの3名だ。オルマートとペレツを責める理由は、あいつらは、我々にとって初めての『将軍でない首相・国防大臣』なのに戦争を始めたから。ナスララを責める理由は、あいつは自分が弱くなったと感じているから、無差別にミサイルを撃ちまくっているからだ。そもそも兵士誘拐なんてするんじゃなかったのだ」

Taluzis一家はイスラエル国家への忠誠とナスララ擁護の間で引き裂かれている。従兄弟は言う「ユダヤ人の血とアラブ人の血に違いはない。双方砲撃を止めないといけない。君は僕にナスララを責めてほしいんだろうが、僕はそうしない。俺たちはあいつらと変わらない。あいつらが殺されるのなら俺たちも殺される、ということだ。僕はナスララに怒っていない」

Safafa 地区の住民の多くは1948年の戦争(第一次中東戦争)の結果、周辺の村から追われたブルーカラー労働者である。もう少しで彼らは難民キャンプに行くところだった。昨日この街を訪れたら、アラブのテレビとイスラエルのテレビを交互に見ては状況を調べようとしている人たちの姿が見れたはずだ。

「僕たちは問題を抱えている」近所の人が言う。僕らはここの市民であって、国のためによいことを考える。でも同時に、僕らは国のほかの人たちとは違う感情を持っている。僕らは国境の向こうの、違う民族に属しているんだ。そして国境の向こう側の光景には衝撃を覚える。僕らは双方が静かに暮らせる方法を見つけるのを待っている。」

どこで読んだか忘れたのだが、ナスララはこの子供たちを英雄の死を遂げたとたたえたそうだ。子供たちにその選択の余地はなかったのに。

テロリストは常に女子供や無関係な非戦闘員の影にかくれて攻撃をしてくる。そうしておいて無実の庶民が巻き添えを食うと攻撃をしてきた相手が悪いという。自分らが殺した非戦闘員への同情などかけらもない。罪悪感もなにもない。

この戦争が終わるためにはこういう奴らを殺す以外に道はないのだろう。

July 22, 2006, 現時間 12:15 AM

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