July 17, 2006

有り難迷惑レバノンの国連軍派遣

今日、イギリスのブレア首相と国連のアナン会長が激化するレバノンの状況を緩和するため、国連軍を送るべきだという話をしたときいて私はとんでもないと思った。(浮世絵さん紹介

ブレア首相は記者団に対し、「われわれが停戦を図る唯一の方法は、国際部隊を派遣し、(ヒズボラの)対イスラエル攻撃とイスラエルの対ヒズボラ攻撃を中止させることだ」と述べた。

まず私はイスラエルとヒズボラが今の段階で停戦しなければならない理由があるとは思えない。停戦をして得をするのは圧倒的に負けているヒズボラほうでイスラエルは拉致された兵士を取り戻すこともできず、レバノンにむやみやたらに攻撃したという汚名だけを負わされてしまう。ここまでやったからには兵士を取り戻すか、それができなければズボラの撲滅を達成するべきだ。そうでなければ世界の反感を買ってまで行った武力行使の意味が全くなくなってしまう。浮世絵さんはもう誰かが終息させるべきだとおっしゃているが、私はまだまだ終息には時期早尚だと考える。

それに国連軍なんていってもロシアだのフランスだのが混ざっていれば、ヒズボラのイスラエル攻撃は黙認、イスラエルのヒズボラ攻撃は阻止されるというイスラエルにとっては迷惑しごくな結果になりかねない。「停戦」など単にヒズボラの体制回復の時間稼ぎに利用されるだけである。

それにレバノンに国連による平和維持団を派遣などということをきくと、これは完全に1980年代前半のデイジャブーである。(デイジャブーとは同じことが前におきたような気がする幻想のこと)

1982年にイスラエルはレバノンに攻め入ってシリア軍やPLOと戦った。そこへレバノンとイスラエルの停戦を平和的に維持させるいう目的で国連軍が派遣された。ここで派遣されたのはアメリカ合衆国、イギリス、フランス、イタリアなどである。しかしこの多国籍国連連合軍はヒズボラなどの自爆テロによってさんざんな目にあっている。

特にアメリカはベイルートにある大使館が1983年4月に自動車爆弾で爆破され60人が死亡120人が負傷したのに続き、同年10月には海兵隊とフランス空挺隊が共有していた宿舎へ爆弾をつんだ軽自動車がつっこみ、米海兵隊員241人、フランス空挺隊員297人が殺されるという悲劇を経験している。

結局国連軍はテロリストの攻撃に耐えかねて1984年にぶざまに退散してしまったのである。どうせ今回も1983年の二の舞いを踏むのが落ちである。平和も保たれていないのに敵の攻撃に圧倒されて退散するくらいなら、出動などしないほうがよっぽどもまし。

イスラエルにとっては国連のこうした動きは大迷惑といわざる終えない。

July 17, 2006, 現時間 6:04 PM

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コメント

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下記投稿者名: silverlining

いやいや、これは苺畑さんが仰ることはごもっともで。
アナンの国連軍派遣提案は、派遣された国連軍が
「何をするのか」まったくもって分かりませんし
どういう規模の国連軍を想定しているのかも分かりませんが
そもそも、国連による紛争地派遣要員というのは
原則「停戦後」に行われてきたわけで
停戦後の不安定な治安状況にある地域で
新たに紛争が再発するのを防ぐために駐留するというのが
これまでの任務だったはずですし。
こんな思いっきりドンパチやっている最中に
国連軍なんぞが来ても、邪魔なだけでしょうね。
国連側に実績もありませんし。

上記投稿者名: silverlining Author Profile Page 日付 July 19, 2006 1:10 AM

下記投稿者名: asean

「行動を起こそうとしない国連に何かやらせてみっか?」

・・・っというサミットでのブッシュ大統領とブレアPMの雑談からじゃないですかね?

これを実際に実行するとしても派遣する国連軍の構成国ですよね。
何処が引き受けるか?・・・お定まりの第三世界からだとすると期待する方が可笑しい訳で

シルバさんが書いてるように紛争中は何も出来ない。

「やれるもんならやって見てくれ!」・・・ってな意味合いが大きいですね、これは

上記投稿者名: asean Author Profile Page 日付 July 19, 2006 8:03 PM

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