July 15, 2006

ハマスとヒズボラ中東市民の冷たい反応: その2

さてではレバノンのヒズボラだが、なぜここ数年全くいざこざを起こしていなかったイスラエルに突然攻撃をしかけたのか、これにはレバノンにおけるシリア勢力衰退の背景がある。

みなさんもご存じと思うが、2005年2月にシリアのアサド首相がヒズボラに命じてレバノンの元首相ハリリ氏を自動車爆弾で暗殺するという事件があった。シリアはイスラエルがレバノンを撤退して以来ずっとレバノンを占領しており、レバノンにはヒズボラをはじめシリア占領軍が大手をふって歩いていた。

しかし、この事件がきっかけでそれまでたまっていたレバノン市民の反シリア軍への反感が爆発し、あちこちでシリア撤退を要求するデモがおき、シリアは一部の諜報機関を残してほとんど軍を撤退させるというところまで追い込まれていた。レバノンではハリリ氏の息子が立候補するなどして新しい選挙が行われたが、シリアの手先であるヒズボラの民兵たちはレバノンに居残りその武力を利用して新政府にも多くの議員を当選させている。レバノンにおいてシリア勢力が衰えたといえどもヒズボラの政治力はまだかなり強い。

ヒズボラがなんとかレバノンで人気を取り戻そうとしていることに関して、イスラエルに留学しているというadventureoftheultraworldさんが某掲示板で面白いことを書いている。

シリアはレバノンのハリリ首相暗殺でそれぞれ国連でかなり追い詰められている。一方、ヒズボラもレバノン国内に「いい加減ヒズボラを武装解除せよ」という世論があって、困っていた...

ヒズボラに一発やらせて、シリアとイランから目をそらせようという魂胆でしょう。今までの中東各国のひとつの行動パターンと一緒ですよ。「困ったときはイスラエル相手に事を構え、『敵はイスラエルである。われわれは分裂している場合じゃない!』って煽ることで、自分たちの危機を回避する」っていう。

しかしレバノン市民にしてみれば、いままでイスラエルとは何の争いもおきずに平和だったのに、ヒズボラのばかどものおかげでとんだはた迷惑を被ってしまったというのが本音だろう。レバノン市民が今度の攻撃で一方的にイスラエル人が悪いとは思っていないことは昨日も紹介した通り。

我々は皆有罪だ。我々全員がだ。緊急ハイワーワタニ議会だって???? 私は笑うべきか食卓の上に内臓を吐き出すべきかわからない。皆に告げておく。我々はおびえている。我々の命がかかっているのだ。我々の国はもう終わりだ。でもこれは皆我々が悪いのだ。我々ひとりひとりの責任だ。この輩を選挙で選び彼等に憎悪と殺伐な理想で自分勝手にふるまう温床を与えてしまった。そしておびえて硬直し誰かにせいにする以外になにもできないのが我々だ。(中略)我々には誰にも文句をいえた義理じゃない。

彼はレバノン市民がヒズボラの愚連隊を政治家に選んでしまったのだからイスラエル攻撃には自分らにも責任があるといっているのである。しかしレバノンの人々には気の毒なことだ。今日も今日とて彼等はイスラエルから猛攻撃をうけている。

ここで肝心のシリアなのだが、イスラエルはレバノン政府にも今回の攻撃の責任はあるといっているが、その背後にシリアがいることは間違いないわけで、イスラエルの攻撃がシリアまで及ぶ可能性は十分にある。それではこれについてシリア人はどうおもっているのであろうか?

それについては次に続く。

July 15, 2006, 現時間 6:10 PM

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